需給動向 海外

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域外輸出増により豚枝肉価格は好調を維持


◇絵でみる需給動向◇


2012年3月の豚枝肉卸売価格は、前年同月比8.4%高

 欧州委員会によると、EUにおける3月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり161.58ユーロ(約17,612円、1ユーロ=109円)と前月から4.3%上昇し、前年同月と比べ8.4%高となった。同委員会の下部組織である単一共通市場組織管理委員会が、4月に発表した統計によると、2012年1月〜2月における豚肉の域外輸出量は、前年同期間比16.8%増(518,536トン)となった。特に、ロシア向けが10%増、香港向けが15%増、中国向けが96%増と、主要輸出先国の需要増がEU産豚肉の輸出をけん引した。好調な域外輸出により、枝肉価格を支えているものとみられる。

図5 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

子豚価格が高騰、前年同月比24%高

 欧州委員会によると、2012年3月の子豚価格は、1頭当たり51.3ユーロ(約5,592円)に達し、前年同月と比べ24.1%上昇した。この価格はEUが25カ国となった2004年以来の最高水準である。なお、特に顕著な上昇を示したのはポーランドであり、同80.2%上昇した。

 価格上昇の要因は、繁殖母豚頭数の減少により、子豚の供給が不十分となっていることがあげられる。

 また、子豚需要が高まっていることも、価格高騰を招いた要因となっている。最近の傾向としては、ポーランドなど東ヨーロッパ地域で繁殖肥育一貫経営から肥育専門経営に転換した経営体が多くみられ、肥育専門経営の増加も子豚需要を高めている。加えて、今年後半に向け、引き続き枝肉価格は好調であると見込まれることも、子豚需要を支えている。
図6 子豚価格の推移(主要5カ国)
資料:欧州委員会

供給量減少により、廃用豚枝肉価格の上昇続く

 英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)よると、EUにおける廃用豚の枝肉価格が昨年から上昇を続けており、2012年第1四半期は2008年以来の高値をつけた。

 上昇の要因は、供給のひっ迫によるものであり、来年の1月に始まる母豚のストール飼い禁止との関連が考えられる。規制強化に伴い、一部の養豚業者は廃業を念頭に母豚の更新を控えているため、廃用豚の出荷が減少しているとみられている。

 2012年第1四半期におけるドイツの廃用豚と畜頭数は約23万頭であり、前年同期間から18%減少している。この結果、4月上旬の廃用豚枝肉価格は、同年1月と比べ13%上昇し、100キログラム当たり145ユーロ(約15,805円)に達した。この価格は前年同期と比べ18%高である。なお、デンマーク及びオランダにおいても、同様の傾向がみられている。


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