需給動向 海外 |
2011年の牛肉輸出量、韓国、新興国からの需要に支えられ、わずかに増加
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2011年牛肉輸出量は前年比2.9%増豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2011年の牛肉輸出量(子牛肉を含む。船積重量ベース)は、前年比2.9%増の94万9200トンとなった。2011年の牛肉産業は、クイーンズランド州の洪水、主要輸出国(日本、米国)での牛肉需要の減退、豪ドル高による米国産牛肉との競合など、さまざまな影響を受けた。こうした中で輸出量がわずかながらも増加したのは、主要輸出国であるブラジルの減産による輸出の低迷や、新興国での牛肉需要の増加によるものである。しかしながら、低価格帯の加工用牛肉の需要が増加した一方で、日本を中心としてロイン系など高価格帯の需要が低下することとなった。 日本向け輸出量は、冷蔵は低水準の一方で冷凍が過去最高主要3カ国向け輸出量をみると、日本向けは34万2200トン(前年比3.9%減)、米国向けは16万7800トン(同9.3%減)と、ともに豪ドル高の影響で前年を下回った。一方、韓国向けは14万6300トン(同17.8%増)と前年から増加した。 日本向けは輸出量の内訳に変化が見られ、冷凍牛肉は過去最高の20万3800トン(同1.5%増)となった。これは、加工用牛肉の増加によるもので、冷凍牛肉に加工用が占める割合は前年の55.7%から57%に増加し、2011年の豪州産加工用牛肉の仕向け先は、日本が米国を抜いて最大となった。一方、冷蔵牛肉は13万8400トン(同11.0%減)と、ブリスケット以外のパーツがすべて減少し、1991年以来最低水準となっている。 米国向けの輸出量の内訳をみると、冷凍牛肉が83%を占めた。アイテム別では、加工用牛肉が全体の62%、シンフランク12%、トップサイド8%となった。 韓国向けの内訳は、冷凍牛肉が75%となっている。アイテム別では冷凍チャックロールが17%、冷凍ブレードと加工用牛肉がそれぞれ11%、冷蔵牛肉ではチャックロール5%、ブレード4%、ショートリブ4%となった。 その他の市場では、東欧・CIS(ポーランド含む)が5万5900トン(同2.1%減)、インドネシア向けが3万9600トン(同18.2%減)と減少した。一方、台湾向けが3万7千トン(同19.2%増)、インドネシアを除くASEANが4万7600トン(同17.8%増)、中東向けが3万1900トン(同31.3%増)となり、2011年の牛肉輸出はこうした新興市場に支えられた。 2012年の牛肉生産量・輸出量は、いずれも過去最高の見込み2012年の牛肉生産量は、と畜頭数や枝肉重量の増加から、219万7千トン(前年比2.3%増)と見込まれる。また、牛肉輸出量も、生産量の増加と米国や新興市場での需要増が相まって、97万5千トンと、前年を2.7%上回る見込みである。生産量、輸出量ともに、過去最高の見込みとなっている。 輸出先別にみると、日本向けは33万トン(同3.6%減)、韓国向けは12万5千トン(同14.6%減)と減少が見込まれる。 この減少は、日本向けについては、米国産輸入牛肉に対する月齢緩和措置の実施を織り込んでいること、韓国向けについては、米韓FTAの締結による米国産の輸入増加を見込んでいることによる。韓国では、既に豪ドル高・米ドル安の影響などで米国産のシェアが増加しており、2011年1〜11月の米国産輸入量は前年同期を約4割上回る水準となっている。 米国向けは、同国内での牛肉生産の減少を背景に、豪州産加工用牛肉の需要が高まるとみられ、21万5千トン(同28.1%増)と大幅な増加が見込まれる。前年は減少となった東欧・CIS向けも、南米からの供給減などから、7万トン(同25.2%増)と増加が見込まれる。
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