需給動向 国内 |
牛肉から暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された影響により、平成23年7月中旬に東京市場の牛枝肉取引価格が急落、8月は一時回復したものの、その後も価格の下落傾向が続いている。東京市場における12月の牛枝肉卸売価格を見ると、和牛去勢(A−4)は、前年同月比19%安の1,488円と大幅に下落し、7カ月連続で前年同月を下回った。交雑去勢(B−3)は、同30%安の960円、乳去勢(B−2)は、同46%安の344円となり、和牛に比べ、より価格の低い畜種ほど、下落幅が大きかった。この要因としては、和牛の2、3等級の価格も同様に下落したことで、交雑去勢や乳去勢の価格メリットが薄れたことなどが挙げられる。
一方、大阪市場における12月の牛枝肉卸売価格を見ると、和牛去勢(A−4)は、前年同月比7%安の1,722円、交雑去勢(B−3)は、同14%安の1,161円と、東京市場に比べ、下落幅は小さく、西高東低の相場が続いている。 総務省「家計調査報告」によると、全国1人当たりの牛肉購入数量(国産・輸入)は、放射線セシウム問題が発生した7月が前年同期比8.4%減の163グラムとかなりの程度減少し、その後も、12月までの間、10月を除き全ての月で前年を下回った。一方、豚肉及び鶏肉の購入数量は、同期間において全ての月で前年同月を上回っており、牛肉から豚肉や鶏肉にシフトしていることがうかがえる。 食肉の購入金額についても、7月以降、牛肉は前年を下回って推移する一方、豚肉や鶏肉は前年を上回って推移している。しかし、 現在、東京市場では、と畜したすべての牛肉について、放射性物質検査を実施し、安全と認められたものだけが、出荷され、流通している。牛肉消費の減退の背景には、景気低迷などによる影響があるものの、こうした食品の安全や安心を確保する取組みにより、今後の牛肉消費量の増加に期待したいところである。
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