需給動向 国内 |
例年、1月の鶏卵卸売価格の初値は、年末年始により産地に滞留していた在庫が一斉に流通するため、12月の終値より大幅に値を下げ、その後2月中旬まで徐々に値を上げるのがパターンである。 全農「畜産販売部情報」(東京・M玉)によると、平成23年12月の鶏卵卸売価格の終値はキログラム当たり195円で、24年1月の初値は同120円と例年どおり大きく値を下げた。毎年、年初に大幅に相場が安くなることで加工業者等の買い入れが進み、荷余りの状況が解消するにつれて価格は上昇する。今年も、1月12日に同120円から10円値を上げ同130円となった以降は続伸し、1月31日には同185円まで上昇した。しかしながら、2月に入ってからは保合いの状況が続いている(同185円、2月17日現在)(図7)。
なお、昨年は鳥インフルエンザの発生により相場が高かったため、今年1月の平均卸売価格は同148円(前年同月比19.6%安)とその反動で大幅に下回っている。 また、農林水産省「鶏卵市況情報」によると、1月の鶏卵入荷量(東京)は8,713トン(同5.3%減)と8カ月連続して前年同月を下回っている。最近の採卵用めすひなえ付け羽数については、社団法人日本種鶏孵卵協会の「鶏ひなふ化羽数データ収集調査」によると、平成23年下期は概ね前年同月を下回って推移していたことから(前年同期比3.4%減)、今後の鶏卵の生産量は前年より減少傾向で推移すると見込まれる(表1)。
しかしながら、東日本大震災後の23年4月以降、加工メーカーが原材料の安定供給を図るため、加工卵(粉卵及び凍結液卵)や殻付き卵の輸入を増やしており、両者の輸入量は依然として前年同月を上回って推移している。23年4月から12月までの累計で見ると、加工卵は23,734トン(前年同期比27.2%増)、殻付き卵は3,843トン(同6,224.0%増)と大幅に増加している。 一方、国が実施する「鶏卵生産者経営安定対策事業」の価格差補てん事業(社団法人日本養鶏協会が事業実施主体)では、1月は鶏卵標準取引価格が補てん基準価格を下回ったことから、23年10月以降、3カ月ぶりの発動となった。1月の標準取引価格はキログラム当たり138.37円と低水準であったが、補てん基準価格と安定基準価格の差額を上限としているため、同24.30円((183円―156円)×0.9)が補てんされることとなっている。 |
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