需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

2011年の主要乳製品輸出は、脱脂粉乳を除き増加


全体では前年比39.0%増の44万トン

 アルゼンチン農牧漁業省(MINAGRI)によると、2011年の乳製品輸出は、数量は前年比39.0%増の約44万トン、金額は同62.4%増の約17億1700万ドル(約1339億2600万円、1ドル≒78円)となった。これは、乳製品のうち同国から最も多く輸出されている全粉乳や業界が輸出に力を入れているホエイ類などの輸出が増加したことによる。

 また、主要乳製品の輸出動向をみると、脱脂粉乳の輸出量が減少したものの、チーズやバターは数量および金額ともに増加した。全粉乳は、ベネズエラやアルジェリア向け、また、ホエイ類と合わせて業界が輸出に力を入れているチーズは、ブラジルやロシア向けが増加した(表参照)。

2011年上半期を中心とする国際需給のひっ迫傾向と輸出に有利な為替環境が要因

 この輸出拡大の要因は、アルゼンチンが全粉乳で世界第3位、チーズで第6位などと世界の主要乳製品輸出国として位置付けられる中で、①乳製品の国際需給が11年上半期を中心にひっ迫傾向となったこと②同国の輸出に有利な為替環境となったこと−が挙げられる。

 国際需給がひっ迫傾向となった背景には、①2011年に中国をはじめとするアジア圏からの粉乳類の引き合いが強まったこと②世界的に乳脂肪製品の需要が増加傾向にあること−などがある。また、2011年1月に1ペソ当たり3.9ドル(304円)であった同国の為替は下落が続き、12月には同4.3ドル(335円)となった。

2011年の生乳生産量は、前年比13.1%増

 MINAGRIによると、好調な輸出と堅調な国内乳製品消費も反映して、2011年上半期の生乳生産者価格(平均価格)は、前年同期比46.1%高の1.52ペソ(約27円、1ペソ≒18円)と大幅に上昇した。これを受け酪農家の生産意欲も向上したことから、同国の生乳受入数量の60%以上を占める主要乳業メーカー(20社以上)の2011年の受入数量は、前年比13.5%増の約638万トンとなった。

図11 生乳生産者価格
資料:MINAGRI
表7 主要乳製品輸出(2011年)
(単位:トン、千ドル)
資料:アルゼンチン農牧漁業省(MINAGRI)、アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)

 米国農務省(USDA)は、同年のアルゼンチンの生乳生産量を同13.1%増の約1199万トンとみている。また、2012年は、国内の物価上昇によるコスト増加のため、生産者の収益が減少するとみられることから、同4.0%増の約1245万トンとみている。


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