需給動向 海外

◆豪 州◆

2011/12年度の生乳生産は順調、国際市況を反映し乳価も上昇


◇絵でみる需給動向◇


主要乳業メーカー、10月から乳価を値上げ

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2011/12年度(7〜翌6月)はじめの6カ月(7〜12月)の生乳生産量は、最大の生産州であるビクトリア(VIC)州が増産したことなどから、前年同期比3.6%増の533万2千キロリットルとなった。VIC州の生産は、7、8月と前年並みで推移したが、9〜12月では前年を5.0%上回った。これは、降雨に恵まれたことで牧草の状態が良好であったためである。また、同州の乳価は、新シーズンが始まって以来据え置かれていたが、依然として高水準で推移する乳製品国際価格を背景に、マレー・ゴールバン社が10月に14豪セント(12円:1豪ドル=83円)値を上げ、11月にワーナンブールチーズ&バター社が13豪セント(11円)値を上げた。

図10 月別生乳生産量の推移
資料:DA

 乳製品生産量(7〜10月)を品目別にみると、飲用乳は前年同期比2.5%増の80万キロリットル、脱脂粉乳は同5.6%増の8万6千トンと増加した。一方、バターは同2.9%減の3万3千トン、チーズは同4.5%減の10万3千トンと、いずれも国内消費の減少などを反映し減産した。また、全粉乳は、同1.0%減の6万トンとわずかに減少したものの、前年が中国の需要を反映し大幅増産であったことから、依然として高水準となっている。

2010/11年度の飲用乳消費量は、値下げの影響から増加

 2010/11年度における乳製品消費量は、前年度比2.1%増の231万6000キロリットルとなった。増加の要因は、飲用乳消費の伸びである。

 一人当たりの消費量を品目別にみると、飲用乳は、同0.6%増の103リットルと増加した。ここ数年は、カフェ文化の浸透などによる間接消費の増加を背景に、100リットルを超えていたが、今年度はスーパーマーケットでの飲用乳値下げも増加要因の一つとなった。豪州の大手2大スーパーマーケットは、2011年1月末より、PB飲用乳を1リットル1豪ドル(83円)へ値下げした。これにより、普通牛乳が約4%、低脂肪乳が25〜33%の下げ幅となった。2010/11年度中は、約5カ月間 (2011年1月末〜6月)値下げが行われたことになるが、同年度のスーパーマーケットでの飲用乳販売量は、同4.6%増加(121万6千キロリットル)した。

 当初、この値下げは2011年8月までとされていたが、2012年1月現在も値下げされたままである。国内の販売量に占めるスーパーマーケットのシェアは5割を超えており、今後も値下げが続いた場合、2011/12年度には飲用乳消費の動向にさらなる影響を及ぼすことも考えられる。

 また、ヨーグルトの1人当たりの消費量は、7.2キログラムと増加(同1.4%増)した。最近は健康志向を反映し堅調に消費が伸びており、10年前と比べると3割程の増加となった。

 一方、チーズは、12.7キログラムとわずかに減少(同1.6%減)した。チェダーの消費は伸び悩むものの、消費形態の多様化により、非チェダー(クリームチーズを代表とするフレッシュチーズなど)の消費が増加した。

 バターは、植物性商品との競合などによって、3.7キログラムと減少(同2.6%減)した。

表6 1人当たりの乳製品消費量
資料:DA

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