需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

と畜頭数の増加から生産量は前年同期を上回る


 アルゼンチン農牧漁業省(MINAGRI)によると、2012年1〜7月のと畜頭数は前年同期比5.3%増の649万頭、 牛肉生産量は同3.2%増の146万7千トンとなった。と畜頭数は増加したものの1頭当たりと畜重量は同2.2%減の226キログラム(枝肉重量ベース)と低下しており、生産量の増加にブレーキをかけている。

 なお、米国農務省(USDA)によると、2013年の生産量は278万トン(枝肉重量ベース)と、2009年以来最高と見通している。これは深刻な干ばつによる繁殖雌牛のとう汰後、2010年から開始された牛群再構築の結果として牛の供給頭数が増加し、と畜頭数が1240万頭と大幅に増加すると予測されたことによるものである。

図1 牛と畜頭数の推移
資料:アルゼンチン農牧漁業省(MINAGRI)


輸出量は前年同期を大幅に下回る

 輸出量は前年同期比20.1%減の12万4755トン(製品重量ベース)となった。このうち、冷凍・生鮮肉は同27.8%減の5万1163トンとなり、当期の輸出量全体に占める割合は45.4%から41.0%に減少した。主要な輸出先は、チリ(輸出量シェア28.0%)、イスラエル(同25.4%)、ロシア(同17.9%)であるが、輸出量が前年同期を上回ったのはチリのみであった。チリについては、パラグアイで発生した口蹄疫によりパラグアイ産牛肉の輸入を停止したことに起因する。また、これまで最大の輸出先であったイスラエルは同18.9%減となり、チリに次ぐ2位となった。

 EU向けのヒルトン枠(EU向け骨なし高級生鮮牛肉の低関税割当枠)は同9.5%減の1万2493トンとなった。主な輸出先はドイツ(輸出量シェア63.1%)、オランダ(同20.4%)、イタリア(同12.4%)の3カ国である。

 また、2011/12年度(2011年7月1日〜2012年6月30日)のヒルトン枠の輸出量は1万8050トンと割当数量(2万9375トン)の約6割にとどまり、5年連続で割当数量を消化することができなかった。これは主に国内への牛肉供給を優先させたい政府の思惑により、配分方法の決定が遅れ、結果的に輸出が規制されたためで、EUは安定供給が望めないアルゼンチンからブラジルやウルグアイにヒルトン枠の供給先をシフトする傾向にあった。

 なお、2012/13年度以降については、7月16日付け大統領決議1174/2012号に基づき、2009年7月16日付の同決議906/2009号により定められた本制度の実施期限を2012年7月1日から2015年6月30日まで延長することが決定した。

図2 ヒルトン枠の輸出量の推移
資料:アルゼンチン動植物衛生機構(SENASA)

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