2013年6月末の総飼養頭数は、過去30年で最大
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は9月、四半期ごとの農産物需給予測を公表した。これによると、2012/13年度(7〜翌6月)のと畜頭数は810万頭(前年度比2.9%増)、生産量は217万5千トン(同2.8%増)と見込まれる。
2011/12年度は、2年連続で降雨に恵まれて放牧環境が良好となったことから、雌牛の保留により牛群を拡大しようとする動きがみられ、同年度の雌牛と畜頭数は16年間で最低の310万頭、と畜頭数全体では1985/86年度以来最低の787万3千頭(同2.8%減)となった。
2012/13年度は、と畜頭数は増加するが、依然として肉牛の増頭は続き、2013年6月末時点の肉牛飼養頭数は2790万頭(同2.2%増)と予測される。また、総飼養頭数(乳牛含む)は30年来で最大の3050万頭(同2.0%増)と見込まれる。
表1 牛肉需給の見通し |
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資料:ABARES
注1:2011/12年度は推計値、2012/13年度は予測値
2:肉牛飼養頭数は6月末時点 |
牛肉輸出量はわずかに増加も、輸出単価が低下
2012/13年度の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)については、日本、韓国向けが減少するものの、米国、新興市場向けが増加することにより、95万5千トン(前年度比0.7%増)とわずかに増加するものと見込んでいる。一方、輸出価格については、同0.3%安のトン当たり4,699豪ドル(39万円:1豪ドル=83円)とみている。これは、日本、韓国からの需要が冷蔵牛肉やグレインフェッドなど高価格商品から冷凍グラスフェッドなど低価格商品にシフトしていることや、米国の加工用牛肉への強い引き合いを反映している。
9月輸出量は日本向けが大幅減
こうした中、2012年9月の輸出量は、日本および韓国の不振に豪ドル高が加わって、前年同月を2%下回る7万9935トンとなった。
特に日本向けは、同20.1%減の2万2647トンと大幅に減少している。米国産との競合から減少傾向にあるチルド輸出量は1万56トン(同12.6%減)となった。また、ファストフード産業からの堅調な需要を背景に増加傾向にあったフローズンも、1万2592トン(同25.1%減)の大幅減となった。これは、5月から8月までの輸入量増加による在庫積み増しが主因となっているものとみられる。
2012年1〜9月の累計をみると、米国向けが大幅増(同38.2%増)の一方、日本向け(同6.3%減)や韓国向け(同24.7%減)が減少しており、ABARESの予測を裏付けるものとなっている。今後、見込まれる生産量の増加分は、米国や東南アジアなどの市場が吸収するものとみられる。
表2 国別牛肉輸出量 |
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資料:豪州農漁林業省(DAFF) |
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