需給動向 海外

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生乳生産、前年下回る


◇絵でみる需給動向◇

 LTO(オランダ農業園芸組織連合会)によると、域内主要乳業メーカー17社の8月の平均生乳価格は、前年比8.8%安の100キログラム当たり32.72ユーロ(3,337円:1ユーロ=102円)となり、前月の32.52ユーロ(3,317円)より上昇したが依然として前年を下回った。

 ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)によると、生乳価格の上昇は、EUにおける生乳生産のピークを過ぎ生産量が減少に転じたこと、更に生産量が前年を下回ったことに加え、年末に向けて需要が増加することによる需給ひっ迫感が生じているからだとしている。

 生乳生産量は、本年の年初から前年の乳価高騰を背景に同約2%増で推移していた。しかし、5月下旬まで継続した乳価低迷と欧州の一部地域における天候不良により生産は抑制され、7月は前年を下回る生産量となった。国別に7月の生乳出荷量をみると、夏場の多雨および低温により、アイルランドで前年同月比8.6%減、英国で同3.9%減、一方、欧州東部では高温および干ばつが発生し、ルーマニアで同4.2%減、その他の東欧諸国でも前年を下回ってはいないものの増産割合が減少した。

 この天候不良は、直接的影響として泌乳量の低下と牧草生育の遅延、また間接的影響としてサイレージの品質低下があげられており長期的な影響が出る可能性が高いと指摘されている。

 また、米国の干ばつによる穀物価格の高騰で大豆かす価格が上昇しており収益性の悪化が懸念されるとコメントしている。

図9 EUにおける生乳価格の推移
資料:LTO
  注:域内主要乳業17社の平均値
図10 EUにおける生乳出荷量
資料:ZMB
  注:2012年の数値は暫定数値

バター価格上昇、市場活発化

 ZMBによると、8月のバター価格(100キログラム当たり)は282ユーロ(28,764円、対前年比30%安)となり、前月の270ユーロ(27,540円)から引き続き上昇した。

 バターの生産量は、生乳生産量の増加および脱脂粉乳の輸出好調を背景に前年を上回って推移したことから、バター価格は5月まで前年を大きく下回って推移し、バターの民間在庫量は、13万トンを超えて過去3年で最大となった。

 このため市場は様子見の状況にあったが、夏場の天候不良により一部地域の生乳生産が減少したこと、前年の高騰による安価な代替品に移行していた需要が本年の低価格により戻りつつあること、バター生産量が減少に転じたことなどから荷動きが活発になっており、価格は上昇した。
 今後、12月のクリスマスシーズンに向け需要が増加するため、価格は上昇もしくは維持されるものと予測している。
図11 バター卸売価格の推移
資料:ZMB
表5 EUにおける主要国別生乳出荷量

資料:ZMB
  注:2012年は暫定値である。

表6 EUにおける乳製品生産量

資料:ZMB
  注:2012年は暫定値である。


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