平成24年8月の豚肉輸入量は、7万2768トン(前年同月比14.4%増)と、前年同月をかなり大きく上回ったものの、年度累計では前年度を3.0%下回っている。(財務省「貿易統計」、図3)。このうち、冷蔵品は2万3311トン(前年同月比4.3%増)と、前年同月をやや上回った。比較的低水準であった前月の反動とみられ、23年4月以降、おおむね2万トン台前半で推移している。
一方、月ごとの変動が比較的大きい冷凍品は、4万9453トン(同19.8%増)と、前年同月を大幅に上回った。平成24年4月4日付け財務省関税局長から発出された「豚肉の輸入申告に係る審査・検査の充実等について」が8月に変更され、9月10日以降、輸入申告に係る審査などがさらに充実されることとなったことから、前倒しで輸入申告が行われたとみられる。
また、豚肉調製品の輸入量は1万6087トン(同18.0%増)と、前年同月を大幅に上回る高水準となった。差額関税制度の適用を受ける豚肉と異なり、定率の従価税で輸入できることや、輸入量が大幅に減少した4月以降、仲間相場が上昇した冷凍品からの代替需要が高まったことから、前年同月を上回って推移している。
図3 豚肉・豚肉調製品の輸入量および輸入品推定期末在庫の推移 |
|
資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構「食肉保管状況調査」
注:輸入品推定期末在庫に調製品は含まない。
|
輸入品仲間相場、冷凍品は低下傾向も前年比高
こうした中、8月の輸入品の仲間相場を見ると、輸入冷蔵品の仲間相場は、部位によって差はあるものの、前年並みまたは前年同月をわずかに下回る価格となった(機構調べ「食肉市況調査」、図4)。これは、輸入量の増加、競合する国産豚肉の枝肉卸売価格の低下によるものとみられる。一方、輸入冷凍品の仲間相場は、デンマーク産「ばら」や米国産「うで」など、4月以降、上昇した反動から低下傾向にあるものの、依然として前年同月をかなりの程度上回る価格となった。
図4 輸入豚肉の仲間相場の推移 |
|
資料:農畜産業振興機構「食肉市況調査」
注:平成24年8月のデータラベルは前年同月比
|
輸入品推定期末在庫、2カ月連続で積み増し
輸入量が高水準となったことから、8月の輸入品の推定期末在庫は、前月から4,592トン積み増しの15万5400トン(同5.1%増)となった(機構調べ「食肉保管状況調査」)。例年6月から12月にかけて、在庫は取り崩される傾向にあるものの、2カ月連続で積み増しが進んでおり、この傾向は、過去にあまり見られない傾向といえる。これは、在庫のほとんどを占める冷凍品の輸入量の月ごとの変動が大きいことから、ある程度の数量を確保する傾向にあるためと推察される。今後も国産豚肉の卸売価格に影響を与える輸入量の動向を注視したい。
|