6月末時点ではフィードロット飼養頭数は増加
豪州フィードロット協会(ALFA)は、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で、四半期ごとにフィードロット飼養頭数の全国調査を実施している。2012年4〜6月期の調査結果によると、6月末時点の総飼養頭数は78万8600頭と、前年同期を0.5%下回ったものの、前回調査時の3月末時点(75万2100頭)からは4.9%増加した。
図1 フィードロット飼養頭数および稼働率の推移 |
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資料:ALFA |
この増加の要因の一つに、4〜6月期における飼料穀物安がある。
フィードロットが多く所在するクイーンズランド州南東部ダーリングダウンにおける飼料用の小麦、大麦およびソルガム価格は、4月から6月までの間、おおむね前年の1〜2割安の水準で推移した。
豪州では2011/12年度(7月〜翌6月)の冬穀物が豊作となったことに加えて、平年を上回る降雨によりたんぱく質含有量が低下し、飼料向けの割合が増加したことから、飼料穀物価格は軟化傾向にあった。これは、豪ドル高や後述する日本向けグレインフェッド輸出の不振など、厳しい状況にあるフィードロット産業にとって、プラス材料の一つであった。
穀物相場上昇の影響は豪州にも
しかしながら7月以降、米国の干ばつに端を発した穀物価格の上昇は豪州にも及んでおり、7月以降の飼料穀物価格はそれまでと一転して前年超えの水準で推移している。9月の第1週における飼料用の小麦の価格は、トン当たり277豪ドル(2万2991円:1豪ドル=83円)と前年比10.8%高、大麦は同2.9%高の250豪ドル(2万750円)、ソルガムは同7.1%高の240豪ドル(1万9920円)と高値での推移となっている。
ALFAは、この飼料穀物価格上昇について、「フィードロット産業への影響は避けられない」としており、飼養頭数の減少などが懸念される。
図2 ダーリングダウンにおける飼料用小麦価格の推移 |
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資料:MLA |
図3 ダーリングダウンにおける飼料用大麦価格の推移 |
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資料:MLA |
日本向けグレインフェッド輸出量、1〜8月は前年から1割超の減少
日本向けグレインフェッド輸出量は、1〜8月の累計で8万4000トンと、前年同期を12.0%下回っている。月別に見ても、7月を除いてすべて前年割れの水準となっている。
MLAは、グレインフェッド輸出が低調となっている要因について、豪ドル高や米国産との競合の激化を挙げている。
なお、1〜8月の日本向けグラスフェッドの輸出量は、ファストフード産業からの堅調な需要などを受けて、12万6000トンと前年同期から1.1%の微増となっており、グレインフェッドの推移とは対象的である。
表1 日本向け輸出量の推移 |
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資料:MLA |
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