需給動向 海外

◆ブラジル◆

第2四半期の鶏肉輸出量は前年同期比増となるものの、
生産量は減少


◇絵でみる需給動向◇


輸出量は前年同期比2.4%増となるものの、輸出額は同7.9%減

 2012年第2四半期(4〜6月)の鶏肉輸出量は、5月単月の輸出量が3月に引き続き過去最高を記録したことなどにより、前年同期比2.4%増の92万4833トンとなった。しかし、2011年の為替相場はレアル高で推移していたが、5月以降、ドル高レアル安傾向が強まったため、輸出額は同7.9%減の16億8865万ドル(1344億1654万円:1ドル=79.6円)であった。ブラジル養鶏連合(UBABEF)は為替相場について、6月時点の1ドル=2レアルの水準が輸出競争力の面から、最適であるとしている。

 国別でみると、最大の輸出先はサウジアラビアで同0.2%増の15万7075トン、第2位は日本で同13.4%減の10万6072トン、第3位は香港で同6.4%減の7万5989トンとなった。日本向けの減少は、第1四半期に引き続いたものであるが、これは、日本の在庫過剰感が要因とみられる。日本は、震災の影響が緩和され、鶏肉生産が著しく回復したため、推定期末在庫量は4月に14万8000トン(前年同月比40.3%増)と高い水準にあった。一方、中国向けは旺盛な需要を反映し、前年同期比43.0%増の6万2728トンと大幅に増加した。

表2 第2四半期の鶏肉輸出
資料:ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)
図9 レアルレートの推移
資料:米連邦準備銀行(FRB)

3カ月連続で生産量は前年同月を下回る

 2011年は年間を通じて、ふ化羽数が1月当たり5億羽超で推移していたものの、2012年2〜4月の間は4億羽台に落ち込んだ。これを受け、2012年第2四半期は、生産量が前年同期を下回った。単月の生産量が前年割れとなったのは、2010年9月以来のことである。

表3 鶏肉の生産動向
資料:ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)
 飼養羽数の減少要因としては、2012年上半期に国内需要が弱まったことから鶏肉が供給過剰となり生産者価格が低迷した一方、大豆かす価格が2012年6月は1月に比べて60%以上、上昇し、1トン当たり1,060レアル(4万916円:1レアル=38.6円)と、飼料価格が大幅に上昇したことが挙げられる。6月のブロイラー生産者価格は、生体1キログラム当たり1.85レアル(71円)となった一方、生産コストは1キログラム当たり1.84レアル(71円)であった。

 ブラジル国内のトウモロコシや大豆かすの価格の高騰は続いており、多くの鶏肉生産者は、生産コスト上昇分を価格に転嫁せざるを得ない状況にある。このことから、今後、生産者価格の上昇は避けられないものとみられる。
図10 生産者価格および生産コストの推移
資料:農牧研究公社(EMBRAPA)
  注:生産者価格はサンパウロ州、生産コストはパラナ州の数字
図11 大豆かす価格の推移
資料:Informa Economics FNP

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