需給動向 国内

◆鶏 肉◆

国産鶏肉、前年を上回る消費が続くも価格は依然低迷


◇絵でみる需給動向◇


国産鶏肉の推定出回り量、8カ月連続で増加

 平成24年7月における鶏肉の推定出回り量は、国産品は12万2115トン(前年同月比12.7%増)となり、年度累計(平成24年4〜7月)も前年を1割程度上回る48万7394トンとなった。一方、輸入品は2万9281トン(同17.2%減)、年度累計も前年を2.4%ほど下回っており、国産志向が続いている。8月の機構「POS調査」によると、購買数量は国産品が前年並みである一方、輸入品は1,000人当たり1.0キログラムと、10カ月連続で前年を下回っており、テーブルミートについても、国産志向が続いているとみられる。

図2 国産品と輸入品の推定出回り量(4〜7月)
資料:農畜産業振興機構調べ

消費を上回る供給が続く

 平成24年7月の鶏肉生産量は、11万8613トン(前年同月比6.9%増)と増加した。一方、輸入量(調製品含まず)は、米国産の減少などから、4万548トン(同3.3%減)と減少した。輸入量の大半を占めるブラジル産は、3万6619トン(同0.3%増)とわずかな増加にとどまったものの、過去3年平均を2割弱上回る高水準となった。ただし同国では、ブロイラーの飼料となる大豆かすの価格が、1〜6月の間で6割ほど上昇している(今月号、ブラジルの鶏肉需給動向参照)。これに伴い、現地における7月の冷凍もも肉の卸売価格が前年を1割ほど上回るなど、価格面に影響が出始めており、今後の輸出価格の動向が注目される。

 また、平成24年7月の推定期末在庫量は、国産品が3万8002トン(同39.1%増)、輸入品が12万2543トン(同12.2%増)と、いずれも依然として高水準であり、消費を上回る供給が続いているとみられる。
図3 鶏肉・鶏肉調製品輸入量、生産量及び在庫量の推移
資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ、農林水産省「食鳥流通統計」

冬場の消費回復に期待

 こうしたことから、平成24年8月における鶏肉の卸売価格(農林水産省「食鳥市況情報」)は、もも肉が1キログラム当たり533円(前年同月比10.5%安)と、今年1月から下落が続いている。むね肉については、同176円(同35.6%安)と、前月並みながら依然として低水準で推移している。今後は、エルニーニョ現象の影響により、例年に比べ気温が高い傾向が続く可能性があるなど、需要の下げ要因が懸念されるものの、冬場の需要期に向けて消費の回復が期待される。

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