需給動向 国内

◆鶏 卵◆

猛暑の影響により大玉の価格がさらに上昇


◇絵でみる需給動向◇


 7月下旬以降、鶏卵卸売価格は保合が続いていたが、8月21日より、各市場で段階的にM玉以上のサイズが値を上げた。これは、猛暑の影響により、卵重の低下がさらに進み、大玉の需給が逼迫したためである。

 これにより、8月22日には標準取引価格(日毎)がキログラム当たり160円となり、成鶏更新・空舎延長事業の要件である安定基準価格(キログラム当たり158円)を上回ったことから、約3カ月間継続して実施されていた同事業は、8月21日をもって終了した。事業実施主体である社団法人日本養鶏協会によると、9月7日現在の同事業への参加戸数は190戸、出荷された成鶏は420万5千羽に達している。なお、同事業の参加者に交付される奨励金は、平成22年度に実施された成鶏更新緊急支援事業における奨励金額から約50円増額されており、大規模生産者(鶏舎収容可能羽数が10万羽以上)の場合、成鶏1羽当たり150円、中小規模生産者(同10万羽未満)の場合、成鶏1羽当たり200円である。

秋以降の価格推移は需要次第

 9月18日現在、L玉およびM玉の卸売価格は、それぞれキログラム当たり185円および173円(全農・東京)であり、8月下旬以降、上昇基調となっている(図6)。例年の傾向通り、7月中旬以降、供給過多となっていたS玉、SS玉についても、9月下旬あるいは10月上旬から、気温低下に伴う卵重の回復により供給量が減少し、価格が上昇すると見込まれる。しかしながら、今年の鶏卵相場は過去5年間の同時期と比較して最も低い水準である(図7)。それに加えて、米国での干ばつに起因する穀物価格の高騰から、10〜12月期の配合飼料価格は今年度4〜6月期および7〜9月期に引き続いて上昇する可能性が高いとみられており、鶏卵生産を取り巻く状況が一層厳しくなることが懸念される。秋の行楽需要や冬場の鍋物需要がどの程度伸びるかが、今後の価格推移を左右する鍵となるであろう。
図6 サイズ別卸売価格の推移(東京)
資料:全農「畜産販売部情報」
図7 M玉卸売価格の推移(東京)
資料:全農「畜産販売部情報」

元のページに戻る