需給動向 海外

◆インド◆

今後の生乳生産量はモンスーンの降雨量に左右


第3四半期の生乳生産量は前年比増の見込み

 2012年第2四半期(4〜6月)の生乳生産量は、前年同期比9.5%増の1867万トンとなった。

 インド気象局によると、雨季(モンスーン)である6〜7月の降雨量はモンスーンの到来が例年より遅れたことにより、平年(過去50年平均)を22%下回ったものの、8月末時点で降雨量は平年の90%近くまで回復した。

 この6〜7月の降雨不足は牧草の生育不良や飼料穀物の単収減少を招いた。現在、飼料穀物と牧草は需要量の4割相当の不足が見込まれる。8月以降の降雨によって、作物の生育が改善することが見込まれるものの、6〜7月の降雨不足が響き第3四半期(7〜9月)は同4.5%増の3055万トンと鈍化するものと見込まれる。

図19 生乳生産量

資料:インド農業省畜産酪農・漁業局
  注:2012年の7−9月、10−12月は見込み。

生乳取引価格は上昇基調、一方、脱脂粉乳価格は下落

 生乳取引価格は、6〜7月に生乳生産が落ち込んだ影響で8月時点で1キログラム当たり198ルピー(313円:1ルピー=1.58円)と6月から上昇基調となっている。生乳価格の上昇は、牛乳・乳製品の価格を押し上げ、7月の消費者物価指数(CPI)は、速報値で前年同月比11.9%増となった。

 一方、脱脂粉乳価格は、昨年の粉乳の無税枠措置や輸出禁止措置による供給過剰から6月〜8月は同174ルピー(275円)と下げ止まって推移した。

図20 生乳および脱脂粉乳の価格動向

資料:インド乳業協会、機構調べ
注1:生乳価格は無脂固形物(SNF)換算
  2:生乳は生産者販売価格、それ以外は卸売価格

脱脂粉乳の輸入量、無税枠の影響で大幅増

 インド政府は国内消費量の増加による粉乳の供給不足を懸念し、2011年2月に粉乳の輸入無税枠3万トンを措置し、8月に5万トンに拡大した。この結果、2011年度の脱脂粉乳の輸入量は前年比52.5%増の3万827トンとなった。

 インド商工省商務局外国貿易部は、2012年6月8日に、輸入増による供給過剰で脱脂粉乳の価格が下がっていることを背景に、国内の乳業メーカーの財務体質の改善を図るため、昨年2月から国内乳製品価格の上昇を抑える目的で措置した乳製品(ミルクおよびクリーム類)の輸出禁止の一部を解禁し、脱脂粉乳の輸出禁止を解除した。脱脂粉乳以外の乳製品(砂糖またその他甘味料を加えた調製品、全脂粉乳など)の輸出禁止措置は維持する。

 現在、供給過剰の影響で脱脂粉乳の価格は、同174ルピー台(275円)で推移しているものの、今後、降雨量の回復が見込まれれば、第4四半期(10〜12月)以降の生乳生産が増加するものと見込まれることから軟調に推移するものと見通される。
表4 脱脂粉乳の輸入量
資料:商工省商務局外国貿易部
  注:年度は4月〜翌3月

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