需給動向 海外

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牛肉価格は堅調に推移



◇絵でみる需給動向◇


 英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、2012年の牛肉価格は堅調に推移している。この上昇の要因は、乳雄牛および未経産牛の飼養頭数の減少および景気低迷による所得減少で経産牛のミンチやバーガーなどの安価な製品の需要が増えている一方で、2011年の酪農業界の好調による乳牛のと畜頭数の減少によるものである。

 枝肉価格をみると、7月15日の価格(100キログラム当たり)は、若雄牛(格付けR3*)で前年同月比11%高の376ユーロ(3万6472円、1ユーロ=97円)、去勢牛で同19%高の411ユーロ(3万9867円)となり高水準で推移した。乳雄牛のと畜頭数は、2012年第1四半期で同9%減となっており、出荷頭数の不足が枝肉価格の上昇要因となっている。

図3 EUにおける牛肉価格の推移
資料:欧州委員会

*EUの枝肉格付けは、形質((Conformation: S (superior)、E (excellent)、 U (very good)、R (good)、O (fair)、P(poor)の6段階)および脂肪(Fatness : 1(low)、2(slight)、3(average)、4(high)、5(very high)の5段階)により行われる。R3は、形質および脂肪のそれぞれについて中間に位置する。

欧州委、2012年および2013年の予測を発表

 欧州委員会が6月に公表した「短期予測(Short term Outlook)」によると、2012年の牛肉および子牛肉の生産量は前年比3.5%減の790万トンと予測された。減少の要因としては、繁殖雌牛の減少および2011年の生乳価格が好調であったことから乳用牛のと畜頭数の減少がある。2012年の牛肉価格は、供給量が消費量を下回ることが見込まれることから高水準で推移すると予測されている。

 輸入量は、ユーロ安により前年比5.8%減の27万トンと予測された。輸出量は、国内供給のひっ迫により大幅に減少し、20万トンと予測された。これにより、欧州は純輸出国から純輸入国へと転じる見込みである。また、2013年は、2012年の状況が維持されると予測されている。消費量は、景気低迷の影響に加え、牛価格の高騰により減少が予測された。

表2 EUにおける牛肉需給表
資料:欧州委員会
  注:「e」は暫定値、「f」は予測値

高品質牛肉枠利用、前年より下回る

 EUは、一定基準を満たす高品質牛肉について低関税(20%)の輸入枠を設定しているが、2011/12年度(7月〜翌6月)における当該枠利用による輸入量は、前年比12%減の3万8千トンとなった。大幅に減少したのはアルゼンチンでクオータ達成率は63.6%にとどまった。また、2012年6月8日に、欧州委員会は無関税枠であるホルモンを投与していない牛肉の輸入枠を2万トンから4万8200トンに拡大することを発表したことから、20%の関税枠から無関税枠へと移行していることも減少要因となった。
表3 EUにおける高品質牛肉割当実績(2011/2012年度)
資料:欧州委員会

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