需給動向 国内

◆鶏 肉◆

7月の国産卸売価格、もも肉とむね肉で明暗


◇絵でみる需給動向◇


調製品輸入量は、3万6千トン超が続く

 平成24年6月の鶏肉生産量(機構推計)は、12万3302トン(前年同月比11.7%増)と増加した。鶏種について、米国種から肥育成績の優れる英国種へ切り替えが進んでいることなどを背景に、9カ月連続で前年同月を上回って推移している。

 また、鶏肉輸入量(調製品含む)は、6万6766トン(同19.1%減)と、前年同月を下回ったものの依然として高水準となっている。このうち調製品輸入量は、3万6811トンとなり、過去3年平均(3万1440トン)を2割弱上回る高水準が続いている。これは、外食産業からの調製品需要が依然として堅調であることや、輸入元であるタイの輸出余力が増加しているためとみられる。タイでは、生産量が増加する一方、国内消費が減少し、輸出に向ける割合が増加傾向にある(今月号、タイの鶏肉需給動向参照)。

図3 鶏肉調製品輸入量(平成24年)
資料:財務省「貿易統計」

7月の国産卸売価格、もも肉は下落する一方、むね肉は2カ月連続回復

 供給量の増加を受け、卸売価格は下落基調が続いている。農林水産省「食鳥市況情報」によると、平成24年7月の国産卸売価格(もも肉1キログラム価格、むね肉1キログラム価格の単純合計:東京)は、2キログラム当たり732円(前年同月比18.4%安)となり、6カ月連続の値下がりとなった。部位別に見ると、主にテーブルミートに仕向けられるもも肉は、キログラム当たり555円(同11.2%安)と、例年を上回る在庫量を背景に下落が続いている。価格上昇には在庫の減少が必要であるが、代替供給先としての加工向けへ回すことも、調製品輸入量が高水準であることから難しく、荷余り感が続いているとみられる。

 一方、むね肉は、同177円(同34.9%安)となったものの、前月からは3円ほど値を戻した。これは、総菜などの加工品原料としての需要や外食産業からの引き合いによるものとみられる。なお、7月の機構「POS調査」を見ると、むね肉購入量は1,000人当たり4.4キログラム (同8.8%増)と増加しており、量販店におけるむね肉の販売促進も伺える。

 今後、秋口にかけては鍋需要による価格上昇を期待するところであるが、気象庁による向こう3カ月の気象予報によると、気温は平年並みまたは高い確率が4割程度と、需要の下げ要因もあり、今後の動向が注目される。
図4 国産鶏肉卸売価格の推移(東京)
資料:農林水産省「食鳥市況情報」
図5 鶏肉・鶏肉調製品輸入量、生産量及び在庫量の推移
資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ、農林水産省「食鳥流通統計」

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