需給動向 海外

◆中国の畜産物需給◆

牛肉卸売価格、上昇傾向が継続


7月第3週の卸売価格は、40元を突破

 中国商務部によると、中国国内における牛肉の卸売価格は、2012年に入っても依然堅調に推移し、7月第3週時点では、1キログラム当たり41.36元(525円:1元=13円)となった。これは、2010年の平均卸売価格(単純平均)である30.86元(401円)と比較して、10元以上値上がりしており、豚肉や鶏肉の上昇幅が5元程度であるのと比較して、その幅は顕著なものであると言える。これは、中国国民の牛肉需要層の経済力の向上に歩調を合わせる形で、高価格帯を中心に良質な牛肉の消費が伸びていることも要因と考えられる。今後、中国富裕層の消費動向を表す指標の1つと考えることのできる牛肉価格の動向について注視していきたい。

※7月第3週の卸売価格 豚肉:20.03元(260円)、鶏肉:18.63元(242円)

図15 牛肉の卸売価格の推移(月別)
資料:中国商務部

と畜頭数および国内仕向け量、ともに減少止まらず

 米国農務省(USDA)によると、2012年の中国のと畜頭数は、前年比0.6%減の4060万頭となる見込みとなった。生産量は同0.8%増の554万4千トン、輸入量は2万8千トン、国内仕向け量は551万3千トンとなった。なお、生産量は、重大な伝染病がなかったことや好天に恵まれたことなど、良好な飼養環境によって、生存効率が向上したことによる一時的な増加であると考えられる。よって、と畜頭数や国内仕向け量の減少傾向が持続していることを踏まえると、依然、中国の牛肉生産は縮小傾向が持続しているものと考えられる。

 なお、本年7月に開催された国際食品規格委員会(Codex Alimentarius Commission;CAC)の年次総会において、成長促進剤ラクトパミンの牛肉及び豚肉への最大残留許容基準(MRL)が採択された。中国は台湾※と同様、食肉中のラクトパミンの残留を認めていない。この度の採択は賛成69票、反対67票という僅差であり、EUは安全上の懸念を払拭できないとして、引き続きEUの現行規制を維持することを明らかにしている。今後、中国がCACの決定を踏まえ、水際での検査態勢を緩和するのか注目されるとともに、米国産の牛肉と豚肉の輸入が大きく増加することになれば、中国の畜産生産に大きな影響を及ぼす状況となると考えられることから、今後も中国の食肉の需給動向について注視していく必要がある。

*7月25日、台湾の立法院の臨時会において、食品衛生管理法改正案が可決。これにより、牛肉のラクトパミンの残留基準値が設定。この改正は、牛肉のみの設定で、豚肉は見送り。
表15 中国の牛肉需給等の推移
資料 : USDA 「China-Peoples Republic of Livestock and Products Annual」
    「China-Peoples Republic of Livestock and Products Semi-annual」
  注:2012年は予測値


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