農林水産省が7月24日に公表した「平成23年鶏卵流通統計調査結果の概要」によると、平成23年の鶏卵生産量は248万3千トン(前年比1.3%減)と、平成18年以来、5年ぶりに250万トンを割り込んだ(図9)。
図9 全国の鶏卵生産量の推移 |
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資料:農林水産省 「鶏卵流通統計」
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地域別生産量を見ると、東北が34万3千トン(同5.4%減)と、6年ぶりに35万トンを下回った(表5)。同地域のうち、前年と比較して減少したのは宮城、山形、福島の3県で、特に福島県は5万3千トン(同26.4%減)、宮城県は7万2千トン(同10.1%減)と、それぞれ前年を大きく下回った。両県とも、それぞれの前年比の減少幅が過去10年間で最も大きく、平成23年3月に発生した東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を強く受けたことが伺える。
図9 全国の鶏卵生産量の推移 |
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資料:農林水産省 「鶏卵流通統計」
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また、入荷量は、大阪府が23万5千トン(同3.8%増)、東京都が22万1千トン(同9.7%減)となり、6年ぶりに大阪府が東京都を上回った。東京都の4、5月の入荷量は、いずれも前年比でおよそ15%減少しており、これは、東日本大震災後の飼料不足に対応するため、採卵鶏の淘汰が行われたことが主な要因であると考えられる。
表5 平成23年の地域別鶏卵生産量 |
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資料:農林水産省 「鶏卵流通統計」
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今後の生産動向について
一方、社団法人日本種鶏孵卵協会が毎月公表している「鶏ひなふ化羽数調査結果」によると、平成24年1〜6月における各月の採卵鶏の素ひなふ化羽数は、おおむね前年同月を下回って推移している(図10)。採卵鶏はふ化後約半年経過してから供用されることに留意して、ふ化羽数のみから生産動向を推測すると、平成24年の生産量は平成23年の実績を大幅に上回ることはないと考えられる。また、5月22日から8月16日現在に至るまで、成鶏更新・空舎延長事業が継続して実施されており、同事業に参加した生産者により、既に308万5千羽(8月10日現在)の成鶏が淘汰されている。
5月下旬以降、低迷が続く鶏卵相場であるが、気温低下による需要回復および上述の生産動向を背景に、今後は卵価が堅調に推移することを期待したい。
図10 採卵用ひなふ化羽数の推移 |
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資料:社団法人種鶏孵卵協会 「鶏ひなふ化羽数調査結果」
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