財務省の貿易統計によると、平成23年度の飼料用トウモロコシの輸入量は、前年比5.4%減の1053万トンと平成18年度から6年連続して前年度実績を下回っており、平成17〜23年度の間に15.8%減少した。特に輸入量全体の約9割を占める米国の減少が大きく、前年比7.3%減の906万トン、平成17〜23年度の間に23.3%減少した。このため、輸入量全体に占める米国の比率は、平成17〜23年度の間に94.5%から86.1%に減少した。米国以外からの輸入量は、ブラジル64万トン(同35.5%増)、アルゼンチン41万トン(同40.6%減)、ウクライナ26万トン(同131.2%増)の順となっているが、いずれも年度ごとの輸入量の増減が大きい。23年度の輸入価格(CIF)は、前年比27.9%高の27,803円/トンと大幅に上昇しており、輸入量減少の大きな要因となった。
平成24年度(4〜6月)の輸入量は、前年同期比4.2%減と引き続き減少傾向で推移している。国別では、米国が同26.0%減と大幅に減少する一方、ウクライナからは、平成23年2月から毎月10万トン以上輸入されており、24年度(4〜6月)の3ヵ月間で42万トンと大幅に増加している。ウクライナでは、既存の輸出市場である北アフリカ、中東、欧州だけでなく、これまで実績の少なかったアジアへの輸出を拡大している。
平成23年度のトウモロコシ以外の輸入量は、大豆油かす215万トン(同9.8%減)、こうりゃん100万トン(同19.4%減)、大麦85万トン(同22.7%減)が前年度実績を下回った。一方、輸入量は小さいものの、小麦については24万トン(同115.0%増)と輸出余力のあった豪州やカナダからの輸入量が大幅に増加した。
図11 飼料用トウモロコシ輸入量及び輸入価格(CIF) |
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資料:財務省「貿易統計」
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米国での干ばつの影響が拡大
こうした中、米国中西部を中心とした干ばつの影響が拡大している。米国農務省(USDA)が毎週公表している作物の生育状況報告(18州の生育状況)によると、トウモロコシの生育状況は、6月半ば以降、急速に悪化した。直近(2012年8月5日現在)の生育状況は、作付の50%が「劣る」または「非常に劣る」で前週より2ポイント上昇した。ただし、生育段階は、すでに98%が生育に重要な受粉期を経過したことから、今後、天候が回復しても大幅な単収の回復は見込めない状況である。シカゴ国際価格(シカゴ定期相場)は、6月半ば以降相場が急上昇し、7月後半以降、高水準の状態で推移している。(今月号、海外の畜産物の需給動向:飼料穀物参照)
米国産トウモロコシは、こういった状況を反映して輸出競争力が低下しているため、日本のトウモロコシ輸入は、今後もウクライナなど米国以外の国にシフトする傾向が続く状況にある。また、トウモロコシ価格が高水準で推移すれば、価格競争力のある他の原料にシフトする状況にある。
図12 米国産トウモロコシの生育状況 |
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資料:USDA |
図13 トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期相場の推移 |
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資料:日本経済新聞 |
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