需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

バターの年末需要期に向け、2年連続の追加輸入


◇絵でみる需給動向◇


 農林水産省は8月3日、機構からの申請を受け、業務用冷凍バター2,000トンの追加輸入を、機構を通じて実施すると発表した。一昨年の猛暑や、昨年の東日本大震災の影響による生乳生産の落ち込みを受け、生産者団体は増産に向けて取り組む一方、機構は24年度カレントアクセス分として7,459トンのバターを輸入している。しかしながら、12月のバター需要に対して安定的な供給を実現するため、昨年度に続き2年連続の追加輸入に踏み切った。

生産量は回復傾向にあるものの引き続き低水準

 農林水産省の「牛乳乳製品統計」によると、24年6月のバター生産量は、前年同月比10.9%増の5,516トンとなり、3カ月連続で2桁の伸びを示した。一方、過去5年間の6月の平均生産量との比較では、8.5%減と低水準になっている。こうした背景には、生乳生産量が長期的に減少する中にあって、生クリームなどの生産が好調に推移し、特定乳製品向けの生乳が減少していることが挙げられる(図6)。
図6 バター生産量の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

出回り量は価格の上昇などで12カ月連続の前年割れ

  一方、24年6月のバター出回り量は前年同月比1.9%減の6,834トンと、12カ月連続で前年同月を下回って推移している。この要因としては、昨年度のバター減産を受けて、乳業メーカーによる計画的な出荷が行われる中、バターの卸売価格が上昇傾向で推移しているためと考えられる(図7)。

図7 バター出回り量の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」より農畜産業振興機構推計

卸売価格は3年ぶりの高い水準へ

 こうした中、バターの卸売価格(大口需要者価格)は、23年3月以降16カ月連続で前月を上回って推移しており、6月は前年同月比9.4%増の1,189円/kgと、3年ぶりの高い水準に達している。さらに同月、北海道の加工原料向け乳価が前年度から引き上げられたことから、バターの卸売価格は今後さらに上昇する可能性がある。

バターの民間在庫量は2万トン台維持もなお低水準

 6月のバター民間在庫量は、前年同月比1.1%増の2万1478トンとなった。2カ月連続で2万トン台を維持したとはいえ、震災前から比べると依然低水準となっている。このような状況を受け、今般、需要期に向けて一定量の在庫を確保する観点から追加輸入が決定されたが、このことも踏まえた今後のバターの需給動向が注目される(図8)。
図8 バターの卸売価格(大口需要者価格)と民間在庫量の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」および「乳製品の大口需要者向け価格の動向」

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