需給動向 海外

◆ニュージーランド◆

2011/12年度は記録的な増産、輸出量も増加


生乳生産量は前年度から1割増

 ニュージーランド乳業協会(Dairy Company Association of New Zealand、DCANZ)によると、2011/12年度(6月〜翌5月)の生乳生産量は1974万2千トン(前年度比10.3%増)と、前年度を大きく上回って過去最高を更新した。月別の生産量でも、すべての月で前年度を上回っており、年間を通じて非常に好調なシーズンとなった。

 この増産は、(1)天候に恵まれ、牧草の生育が良好であったこと、(2)特に南島において、新規就農、経営規模の拡大、肉牛経営からの転換などで乳用牛が増頭となったこと−によるものである。2009/10〜2010/11年度の酪農経営における収益性は、当該期間に乳製品の国際価格が堅調であったことから記録的な高水準となったため、酪農家の増産意欲が刺激されたことも背景にある。

図12 月別生乳生産量の推移
資料:DCANZ

 しかしながら2012年以降、乳製品の国際価格は軟化している。Global Dairy Trade(注)の結果を見ると5月15日に、全粉乳が前年比34.1%安のトン当たり2,546米ドル(20万1100円、1米ドル=79円)、脱脂粉乳が同32.7%安の同2,573米ドル(20万3300円)と、年初来の最安値を記録するなど低迷した。(なお、直近の8月15日には、全粉乳が同2,870米ドル(22万6700円、前年比15.2%安)、脱脂粉乳が同3,023米ドル(23万8800円、同12.1%安)まで回復しているものの、依然として前年の水準からは1割程度安値である。)

 このため、ニュージーランド第一次産業省は6月、2011/12年度の生産者支払乳価について、前年度から2割の安値(乳固形分1キログラム当たり6.08NZドル)と見込み、2012/13年度はさらに下落の同5.73NZドルと予測している。乳価の下落を受け、2012/13年度の生乳生産量については、前年度並みもしくはやや減少すると見る向きが強い。

 注:Global Dairy Trade:フォンテラ社が2008年から開催している乳製品の電子オークション。脱脂粉乳や全粉乳の国際価格の指標の一つとなっている。

図13 Global Dairy Tradeにおける脱脂粉乳および全粉乳価格の推移
資料:Global Dairy Trade

全粉乳輸出量は110万トン超に

 2011/12年度(輸出量は7月〜翌6月)の輸出量を見ると、好調な生乳生産を反映して、主要4品目すべてで前年度を上回ることとなった。

 脱脂粉乳については、全体の輸出量はほぼ横ばいの34万8700トンとなったものの、内訳を見ると中国向けの増加が顕著である。中国向け輸出量は、前年度比64.2%増の9万6200トンとなった。

 一方で、全粉乳輸出については、約3割を占める中国向けは大きく減少し、同12.6%減の29万4700トンとなった。しかしながら、アジアや中東向けなどが好調なことから、全体では同5.4%増の112万5700トンと増加している。
表10 乳製品輸出量の推移
資料:Statistics NZ
 注:2011/12年度は速報値


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