需給動向 国内

◆豚 肉◆

大規模層の1戸当たり飼養頭数、わずかに減少


◇絵でみる需給動向◇


飼養戸数、飼養頭数ともにわずかに減少

 農林水産省が平成24年7月12日に公表した「畜産統計」(平成24年2月1日現在)によると、豚の飼養戸数は、5,840戸(前年比2.8%減)となり、昭和35年の調査開始以来、初めて6,000戸を下回った(表3)。肥育豚飼養頭数の規模別に飼養戸数を見ると、小規模層(300頭未満、以下同じ)は、1,480戸(同10.3%減)と、かなりの程度減少したものの、大規模層(2,000頭以上、以下同じ)は、987戸(同1.4%増)となっており、小規模層の減少が顕著となっている(表4)。

表3 豚の飼養戸数、飼養頭数
資料:農林水産省「畜産統計」
 注:各年2月1日現在

表4 肥育豚の飼養頭数規模別飼養戸数、飼養頭数
資料:農林水産省「畜産統計」
注1:各年2月1日現在
 2:規模別戸数および規模別頭数は、非営利的な飼養者については含まれないため、
   各内訳の合計と、全国飼養戸数・全国飼養頭数は一致しない。

 一方、総飼養頭数は、973万5千頭(同0.3%減)、子取り用めす豚の飼養頭数は90万頭(同0.2%減)と、ともに1%未満の減少にとどまった。肥育豚飼養頭数の規模別に飼養頭数を見ると、小規模層25万7千頭(同15.2%減)、大規模層639万4千頭(同1.5%減)と、ともに減少となった。大規模層は、飼養戸数は増加しているものの、平成3年の2,000頭以上層の調査開始以来、初めて飼養頭数が減少したため、1戸当たり飼養頭数(大規模層のみ)は、6,478頭(同2.9%減)と、わずかな減少となった。

宮崎県は増加、福島県は大幅に減少

 次に、全国農業地域別に見ると、飼養戸数は、九州のみ前年より増加となり、飼養頭数は、北陸、四国、九州が前年より増加となった。全国的に減少傾向となる中、最大産地の九州のみ、飼養戸数、飼養頭数ともに前年より増加している。

 さらに、都道府県別の動向を見ると、福島県、宮崎県が顕著な傾向を示している。東日本大震災と、それに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故の影響から、福島県は、飼養戸数同20.4%減、飼養頭数同29.0%減と、ともに大幅な減少となった。一方、口蹄疫からの復興過程にある宮崎県は、飼養戸数同19.1%増、飼養頭数同15.5%増と、ともに15%以上の増加となっており、九州全体の増加傾向も宮崎県の影響が大きいものと見受けられる。しかしながら、依然として口蹄疫発生以前の水準には回復しておらず、引き続き福島、宮崎両県の今後の動向を注視したい。

6月の生産量はわずかに減少

 一方、6月の豚肉生産量(部分肉ベース)は、7万500トン(前年同月比0.3%減)となった(農林水産省「食肉流通統計」、図2)。比較的気温の低かった西日本の多くの県において、前年同月を上回ると畜頭数となり、全国の1日当たりと畜頭数も同4.4%増となったものの、と畜場稼働日数が前年同月より1日少なかったことなどから、月全体では、わずかな減少となった。

 今後の長期的な見通しとしては、子取り用めす豚頭数は前年並みとなり、大規模層の1戸当たり飼養頭数はわずかに減少しているため、と畜頭数の大幅な増加の可能性は低いものと見込まれることから、枝肉卸売価格も前年を上回る水準で推移することを期待したい。


図2 豚肉生産量の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」


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