需給動向 海外

◆豪 州◆

2月輸出量は単月で過去最高、一方、日本向けが2003年以降で最低を記録


◇絵でみる需給動向◇


2月輸出量、1月から引き続き過去最高を記録

 豪州農漁林業省(DAFF)によると、2013年2月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)は8万534トン(前年同月比2.3%増)と、1月に続き単月で過去最高となった。食肉処理加工場への出荷増に加え、中国や中東からの引き合いの強さが輸出増の要因となっている。

 中国向けは1万1866トン(同22倍)と躍進を続けている。2013年1〜2月の累計では1万6303トン(前年同期比21倍)となり、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)による2013年中国向け輸出の予測数量(3万5000トン)の4割以上が2カ月で輸出される状況となっている。

 中東向けも、ここ数年で豪州産の輸出先として存在感を増してきており、2月は前年同月の2.5倍となる5,463トンが輸出された。また、EU向けも1,082トン(同17.6%増)と大幅に伸びた。EU向けは、輸出量の8割以上を冷蔵牛肉が占め、豪州の高級牛肉の輸出市場となっている。昨年の無関税割当枠の拡大から、豪州にとっては今後の成長市場の一つとみられる。

 2012年の輸出が大きく伸びた米国向けは、大半を占める加工用牛肉に中国が強い引き合いを示していることが影響し、1万7067トン(同26.9%減)と大幅に減少した。

日本向けは1割減、2003年以降で最低数量

 一方、日本向けは2万1120トン(前年同月比10.0%減)と低迷し、2003年以降では最低数量となった。カテゴリー別では、冷凍グレインフェッド牛肉が3,063トン(同8.2%増)と前年同月を上回ったものの、冷蔵牛肉はグラスフェッドが2,615トン(同12.8%減)、グレインフェッドが6,684トン(同7.7%減)といずれも前年を下回った。米国産牛肉の輸入月齢緩和措置が2月1日から実施された影響で豪州産の買いが鈍化したことや、昨年末から進行する円安基調、中国との競合などが、日本向けの減少に影響したとみられる。

肉牛価格は堅調な輸出需要などを反映し、再び上昇基調に

 肉牛の家畜市場価格は2012年8月以降、南東部を中心に続いている高温乾燥気候により、素牛需要が低下した一方、と畜頭数は増加したことが要因となり、下落傾向での推移となっていた。しかし、2013年1月後半以降は、クイーンズランド(QLD)州やニューサウスウェールズ(NSW)州北部に洪水をもたらした大量の降雨による出荷停滞や、新興市場からの堅調な輸出需要などを反映し、肉牛価格は再び上昇基調で推移している。東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、3月8日現在でキログラム当たり343.75豪セント(344円:1豪ドル=100円)となり、2012年11月の価格水準まで戻した。

 ただし、ビクトリア(VIC)州など南部では3月以降も降雨のない状況が続いている。牛肉生産や価格の動向に影響を与える気象の状況には今後も注視が必要と考えられる。

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