平成25年2月の鶏肉卸売価格(速報値)は、もも肉がキログラム当たり622円 (前年同月比2.2%高)、むね肉が同210円(同10.6%高)と、24年12月以降、前年の水準を上回って推移している(農林水産省「食鳥市況情報」、図6、7)。
この背景として、まず、先物高によるブラジル産鶏肉の不足見通しが業界内で広がっていることが挙げられる。また、むね肉については加工用での引き合いが強いことや、量販店において、値頃感のアピールと併せた調理法の提案などにより需要が拡大していることも、価格を支える要素となっているとみられる。
なお、当機構で実施している「POS調査」におけるむね肉の購買数量も、24年度(4月〜翌2月)の平均は、21年度〜23年度の各同期よりも多く、1,000人当たり4.3キログラムとなっている。
図6 鶏肉卸売価格の推移(もも) |
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資料:農林水産省「食鳥市況情報」
注:平成25年2月は速報値
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図7 鶏肉卸売価格の推移(むね) |
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資料:農林水産省「食鳥市況情報」
注:平成25年2月は速報値
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今後の価格推移も楽観はできず
1月の推定期末在庫は13万7059トン(同11.0%減)で、うち国産品は3万5112トン(同4.4%減)、輸入品は10万1947トン(同13.0%減)であった(機構調べ、図8)。輸入品在庫については、10万トンを下回った12月末からは積み増したものの、現地相場高による輸入品の不足が懸念される中、昨年のように慢性的な在庫過剰状態に陥る可能性は低いとみられる。
一方、国産品については、一般社団法人日本食鳥協会が実施している「生産・処理動向調査」によると、平成24年度下半期におおむね前年を下回っていた計画ひな入すう羽数が、25年4月には前年を5.0%上回るとの報告がある。生産者の増産意欲が高まっているとすれば、同羽数が5月以降も前年を上回って推移することも考えられる。
現在の国産品卸売価格は3カ月連続で前年を上回っており、昨年秋口までのような悲観する水準ではないと言えるものの、依然として過去5年間の平均を下回っている。今後価格が堅調に推移するか否かは、輸入量や需要量のみならず、当然のことながら、需給に見合った適正な国内生産量が維持されるかどうかにもかかってくると言えよう。
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