需給動向 海外

◆中国の畜産物需給◆

豚肉卸売価格、上昇に転じる


春節需要を見据え、政府は対策を実施

 豚肉卸売価格は、2012年5月の中国政府による価格安定対策などにより、比較的安定して推移していたものの、春節(旧正月)などの需要期を控え、11月以降、上昇基調にある。2013年2月の卸売価格は、1キログラム当たり23.1元(347円:1元=15円)と、2012年9月からの5カ月間で12.2%上昇した。

 今冬季は、強い寒波などの影響により物流が停滞し、農産品の市場への供給が滞った。政府は、2月の春節による需要が高まる1月に、緊急の通達(※)を発出し、備蓄食肉の放出などにより、市場での品薄感の緩和を図るなどして、農産品の安定供給と市場価格の高騰抑制を図った。その結果、2月は、需要期にもかかわらず前月比0.8%高にとどまった。

 3月以降、季節要因による物流の停滞などが解消され、安定的に市場供給がなされるとみられることから、春節明け当面は、豚肉卸売価格は大幅な変動なく推移するものと考えられる。

*【参考】中国国務院、春節需要に対する野菜の安定供給に向けて緊急通達を発表(中国)

http://www.alic.go.jp/chosa-y/joho02_000054.html


ドイツ産とスペイン産の輸入が拡大

 2012年の冷凍豚肉の輸入量は、前年比16.3%増の36万7721トンとなり、2009年の3倍の伸びとなった。

 輸入国別にみると、米国産が同16.1%減の12万5619トンと首位を維持したものの、輸入量は減少した。次いでドイツが6万928トンと、前年と比べ3倍強の伸びとなり、スペインも同43.7%増の5万5244トンとなった。
 ドイツ産とスペイン産の増加は、昨年後半以降顕著となっている。2012年9月以降、両国産の調達が進み、2013年1月もその傾向に変化はない。その背景には、両国内での供給余力の拡大があるものとみられる。両国はEUの主要豚肉生産国であり、最近増産傾向にある。特にドイツは、デンマークから子豚の調達を進め、肥育経営に特化する形で急速に生産が拡大している。

 1月の輸入量でみると、需要期である春節を前に、輸入量は前月比27.2%増とかなり増加している。1月の輸入は、前年のドイツ産とスペイン産に加えて、デンマーク産の調達が進んでいることが特徴づけられる。これまで中国は、比較的安価な米国産、ドイツ産、スペイン産などから調達してきたが、ここにきてデンマーク産やフランス産といった高価格帯の輸入も増えている。

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