需給動向 海外

◆豪州・NZ◆

豪・NZ、ともに生乳生産量を下方修正


◇絵でみる需給動向◇


豪州、950万キロリットルに下方修正

 デーリィオーストラリア(DA)は2月、2012/13年度(7月〜翌6月)の生乳生産見通しについて、当初の965万キロリットル(前年度比2%増)から、950万キロリットル(同0.2%増)に下方修正した。これは(1)夏季以降、南部で降雨が平年の水準を下回り、乾燥した気候となっていること、(2)穀物価格、光熱費などの生産コストが上昇する一方、乳価は前年度比8〜10%安と見込まれること−などを反映したものである。

 2012年9月までの生乳生産量は、14カ月連続で前年同月の水準を上回るなど順調であったが、12月に入って乾燥した状態が続き、12月は前年同月比1.2%減、2013年1月は同5.5%減と状況は厳しいものとなっている。7月から翌1月までの累計でも前年同期を0.3%下回る(613万キロリットル)こととなった。

 なお、生乳生産の6割を占め、輸出向けの多いビクトリア州の7月から翌1月までの生乳生産量は、北部はかんがい利用可能水量が豊富なことから前年同期を6.4%上回っているが、東部は4.0%、西部は0.3%下回っている。

NZ、北島全土で干ばつ事態宣言

 NZ第一次産業担当大臣は2月27日、少雨による極度の乾燥状態であるとして、北島のノースランド地域および北オークランド地域を中規模の自然災害地域に指定した。3月6日には、ワイカト地域(生乳生産の約3割を占める)やホークス・ベイ地域、ベイオブプレンティ地域、南オークランド地域、同月15日には北島の残り全域も指定され、結果として北島全土で干ばつ事態宣言がなされる形となった。北島では、1月の降雨量が平年の約2割減となっており、土壌水分の減少などで牧草の生育状況の悪化が懸念されている。デーリィNZは、2月の生乳生産量について、ノースランド地域は前年同月比約20%減、ワイカト地域は同約15%減と減産見通しを示した。
 NZ全体の生乳生産量を見ると、シーズン(6月〜翌5月)当初は天候に恵まれており、6月から翌1月までは前年同期を6.3%上回る1471万9000トンとなっていた。季節搾乳のため、1月までで生乳生産の約7割を終えることや、最近の増産をけん引してきた南島ではおおむね順調な生産となっていることなどから、依然2012/13年度は前年度を上回ると見込まれるが、当初の前年度比5〜6%の増加から1〜2%程度の増加に下方修正が必要、とみる向きが強い。

3月初旬、全粉乳価格が急伸

 こうした状況の中で行われた3月5日のグローバルデーリィトレード(フォンテラ社主催の乳製品電子オークション)では、全粉乳が前回(2月19日)比17.6%高のトン当たり4,298米ドル(前年比26.1%高、40万4000円:1米ドル=94円)と急伸した。脱脂粉乳も前回比4.7%高(前年比17.7%高)の3,759米ドル(35万3300円)と続伸し、依然として堅調な動きを見せた。前回のオークションから上場されているバターも同9.5%高の4,081米ドル(38万3600円)と値を上げた。減産見込みに対するこのような市場の反応は、中国、中東、東南アジアなどをはじめとした国際的な需要が堅調であることの証左ともいえよう。今後のオセアニア地域の生乳生産動向次第では需給がさらに引き締まると考えられるため、引き続き気象動向などに注視が必要である。

元のページに戻る