需給動向 海外

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2013年生乳価格は高水準でスタート


◇絵でみる需給動向◇


 オランダ農業園芸組織連合会(LTO)によると、域内主要乳業メーカー17社の1月の平均生乳価格は100キログラム当たり前年同月比0.1%安の34.63ユーロ(4,259円:1ユーロ=123円)となり、高水準で推移した前年と同水準となった。

 生乳生産量を月別にみると、7月までは前年を上回る水準で推移していたものの、それ以降は前年を下回る水準で推移した。これにより、生乳価格は上昇に転じ、その後も高値で推移している。

 本年の天候はおおむね良好なため、生乳生産量は順調に推移しているものの、前年の夏季以降の天候不良の影響で乾草の品質が低いことや輸入飼料価格が高騰していることにより、前年並みの大幅な増産は見込まれない。

2012年の生乳生産は、天候の影響により一部地域で大幅に減少

 2013年2月、欧州委員会はEUにおける「牛乳・乳製品市場状況:Milk Market Situation」を公表した。これによると、2012年のEUの生乳生産は、前年比0.6%増となりわずかに増加した。地域別にみてみると、春先に干ばつの影響を受けたイタリアが同2.5%減、ルーマニアが同0.9%減となり、また、夏季以降の低温・多雨の影響を受けた英国が同1.5%減、アイルランドが同2.7%減と天候不良による減産となった地域があった。一方で、天候に恵まれたラトビア、エストニア、ポーランド、ハンガリーなどでは大幅な増産となり、EU域内において地域によって生乳生産に違いが出た年となった。

 2004年5月までに加盟したEU15とそれ以降に加盟したEU12を生乳生産量でみると、依然としてEU15が全体の約8割を占めている。また、生乳価格は、2012年のEU15の年間平均価格が100キログラム当たり33.22ユーロ(4,086円)であるのに対し、EU12は同29.09ユーロ(3,578円)となっており、EU15と比べて約1割安い価格での取り引きとなっている。生乳価格の動向でみると、2011年、EU15は生乳価格が高水準で推移するも、EU12は横ばいで推移した。また、2012年年初の価格をみると、EU15と比べてEU12は下落幅が大きく表れている。この動向の違いは、近年、EU12の生乳生産がEU15と比べて大幅に増加していることによるものと考えられる。
 2012年の乳製品の生産動向をみると、脱脂粉乳が前年比5.1%増、バター同2.5%増、チーズ同1.0%増と伸びている一方で、全粉乳が同2.1%減、はっ酵乳が同0.6%減となった。脱脂粉乳およびチーズの増産要因として、ユーロ安により国際競争力が高まり域外輸出が好調であったことがあげられる。


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