需給動向 国内 |
1月の豚枝肉卸売価格、3カ月連続で前年同月を下回る |
平成25年1月の豚枝肉の卸売価格(東京・大阪市場省令規格加重平均。以下同じ。)は、キログラム当たり399円(前年同月比6.6%安)と3カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉鶏卵速報」、図4)。24年度(4月〜翌1月)は、10月を除きすべての月で前年同月を下回っている。 なお、2月の豚枝肉の卸売価格(速報値)は、1日当たり全国と畜頭数(日別速報の平均)が前年同月を上回っていることから、同415円(同3.5%安)と、依然として前年同月を下回っているものの、価格、前年同月比ともに1月から回復している。 1月の生産量、前年比3.9%増卸売価格低下の主な要因は生産量の増加にあるとみられる。平成25年1月の豚肉生産量は、7万9681トン(同3.9%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」)。24年度は、6、9、12月を除き、いずれの月も前年同月を上回っており、傾向的に生産量は増加している。種付けから出荷まで1年弱という生産サイクルを踏まえ、24年2月1日現在の子取り用めす豚の飼養頭数を見ると、ほぼ前年並み(同0.2%減)である一方、1戸当たりに直すと同4.1%増となっている(農林水産省「畜産統計」)。規模拡大傾向が続いていることも加味すると、大規模経営を中心に1戸当たり子取り用めす豚の飼養頭数が増加傾向にあることが生産量増加の背景にあると思われる。なお、口蹄疫からの回復過程にある宮崎県では、1月の生産量が同17.7%増となっており、鹿児島県に次いで生産量全国2位の同県の動向も生産量増加に影響している。 一方、1月の平均枝肉重量は、1頭当たり78.6キログラム(同0.1%増)と、6カ月ぶりにわずかながら前年同月を上回った。市場関係者によると、夏場以降、飼料価格の上昇から出荷時期を早め、豚舎の回転率を上げることで対応しているため、最近は小ぶりの枝肉が目立っているとのことであるが、そうした状況の中で1月の同重量が増加に転じたことから、今後も増加が続くのか、あるいは再び減少となるのか、推移を注視したい。 1月の冷蔵品輸入量、前年比13.6%増卸売価格の低下については、豚肉輸入量の動向も関連していると考えられる。国産豚肉と競合する冷蔵品の1月の輸入量は、2万1844トン(同13.6%増)となった。安価な商品を求める消費者の志向を背景に4カ月連続で前年同月を上回っており、国産豚肉の卸売価格の低下の一因と考えられる。なお、冷凍品については、4万145トン(同18.9%減)となった。高水準であった前年同月の反動、輸入申告に係る審査・検査のさらなる充実化などが背景にあるとみられる(図4)。 需要は鍋物商材から挽き材、加工向け商材へ当機構にて調査している国産豚部分肉の卸売価格(仲間相場)は、1月後半から、それまで好調であった国産冷蔵品の「ばら」や「かたロース」などの価格が低下しており、鍋物商材への引き合いの弱まりが卸売価格の低下に少なからず影響を及ぼしていると思われる(図5)。一方、同調査対象者(卸売業者など)からの聞き取りによると、国産冷凍品の「うで」や「もも」など挽き材、加工向け商材の引き合いは高まっているとのことである。しかしながら、冷凍品は在庫の取り崩しによるところが大きいため、枝肉の卸売価格には必ずしも直結せず、また、不足感のある輸入冷凍品の代替需要によるところが大きく、安価な輸入品と同程度の価格帯での取り引きとなっており、枝肉の卸売価格の上昇につながっていないことが推察される(図5)。 |
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