豪州農漁林業省(DAFF)によると、2013年6月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)は8万7788トン(前年同月比7.6%増)となった(表3)。また、2012/13年度(7月〜翌6月)では101万3875トン(前年度比6.9%増)となり、過去最高を更新した(表4)。牛肉輸出増加の要因として、肉牛の主産地であるクイーンズランド州内陸部などの干ばつによる早期とう汰から牛肉生産量が増加したことや、国内の生体牛取引価格の下落により、米ドルに対して豪ドル高で推移した為替相場の状況下でも輸出競争力が保たれたことなどが挙げられる。
表3 国・地域別牛肉輸出量(2013年6月) |
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資料:DAFF
注 1:船積重量ベース
注 2:CISはロシア他 |
表4 国・地域別牛肉輸出量(2012/13年度) |
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資料:DAFF
注 1:船積重量ベース
注 2:CISはロシア他 |
一方、2012/13年度の日本向け輸出量は29万8838トン(前年度比8.3%減)と、2003/04年度以降で最低数量となった(図1)。また、日本向けのカテゴリー別では、冷蔵グラスフェッドがわずかに増加(同2.0%増)したものの、米国産と競合する冷蔵グレインフェッドはかなりの程度の減少(同7.4%減)となった(表5)。また、冷凍グラスフェッドは、中国や東南アジアからの引き合いの増加が影響したとみられ、かなり大きく減少(同12.7%減)した。
日本向けが減少する一方、中国向け(前年度比11.9倍)、フィリピン向け(同53.7%増)、サウジアラビア向け(同4倍)などが伸びた結果、これまで主要3カ国と言われた日本、米国、韓国以外の国への輸出の比重が増している。今年度の主要3カ国以外への輸出割合は36.6パーセントとなり、前年度から5.5ポイント増加した。
表5 日本向け輸出量の内訳(2012/13年度)
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資料:豪州食肉家畜生産者事業団(MLA) |
図1 輸出量の年度別推移 |
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資料:DAFF |
2013/14年度も牛肉生産および牛肉輸出の増加傾向は継続する見込み
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は6月、2013/14年度の牛肉の需給見通しを公表した(表6)。これによると、2012/13年度のと畜頭数は前年度比6.6パーセント増の840万頭と推計しており、そのうち雌牛のと畜頭数は前年度から13パーセント増加したとしている。この傾向は、2013/14年度も継続し、同年度のと畜頭数は870万頭(前年度比3.6%増)、牛肉生産量は230万トン(同3.1%増)と予測している。また、と畜が進むことで、2014年6月末時点における肉牛飼養頭数は2520万頭(前年同期比0.8%減)と、わずかに減少するとみている。
2013/14年度の輸出量については、米国や中国、東南アジア、中東などからの堅調な輸出需要や、為替相場が米ドルに対して豪ドル安に転じることで輸出環境の改善が見込まれることから、2012/13年度を上回る107万トン(同5.5%増)と予測している。一方、日本向けは28万トン(同6.3%減)と減少を見込んでいる。これは、米国産牛肉の月齢緩和により日本向け輸出が増加することから、主に米国産牛肉と競合するグレインフェッドの減少を一因としている。
(調査情報部 伊藤 久美)
表6 牛肉の需給見通し |
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資料:ABARES
注:2011/12年度および2012/13年度の牛肉輸出量はDAFFの数値を使用 |
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