需給動向 海外

◆米 国◆

2013年の牛肉生産量は減少の見込み


◇絵でみる需給動向◇


干ばつなどの影響で繁殖雌牛のと畜頭数が増加

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が6月18日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2013年の牛肉生産量は前年比1.8パーセント減の1153万8000トンが見込まれている(表1)。USDA/ERSでは、牛肉生産減少の要因の一つとして、繁殖雌牛のと畜頭数の増加を挙げている。2013年1〜5月のと畜頭数は、前年同期比0.7パーセント減の1337万2500頭であるが、このうち、繁殖雌牛のと畜頭数は、肉用繁殖雌牛で同3.2パーセント増の135万4900頭、乳用繁殖雌牛で同4.1パーセント増の136万9000頭となった(表2)。特に2013年4月期、5月期の肉用繁殖雌牛のと畜頭数は、前年同月比21.8パーセント増、17.1パーセント増とそれぞれ大幅に増加している。この繁殖雌牛のと畜頭数の増加は、米国西部での干ばつによる出荷促進や、肥育素牛価格の下落により繁殖農家の利幅の減少が続いていることによるものである。このため、今後数年間の牛肉生産量は前年を下回る状況が続くとみられている。
表1 牛肉の生産量、輸入量および輸出量予測
資料:USDA/ERS
注 1:数量は枝肉重量ベースのもの。
注 2:※は推定値
表2 肉牛と畜頭数(2013年1〜5月)
資料:USDA/ERS

2013年牛肉輸入・輸出予測を下方修正

 2013年の米国の牛肉輸入量(枝肉重量ベース)については、前年比15.1パーセント増の115万9000トンと4月時点の予測から4,000トン下方修正された。これは主に、メキシコからの生体牛輸入の大幅な減少を反映したことによる。メキシコからの生体牛輸入は、干ばつの影響や肥育素牛価格高騰などの影響により、2012年まで4年連続で増加していたが、メキシコでの牛飼養頭数減少により、同国からの輸入は減少に転じている。一方、カナダからの生体牛の輸入は、肥育牛やと畜牛を中心に増加している状況にある。

 また、2013年の米国の牛肉輸出量は、前年比5.8パーセント減の104万9000トンと4月時点の予測から5万1000トン下方修正された。これは、牛肉生産量の減少を踏まえたものである。最近の国別の牛肉輸出量を見ると、日本、カナダ、台湾、香港向けは前年に比べ増加している一方で、メキシコ、韓国向けなどが減少している状況にある。

                                      (調査情報部 山ア 良人)


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