中国、米国向け鶏肉輸出が好調
チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2013年上半期(1〜6月)の鶏肉輸出量は、前年同期比1.1パーセント増の3万8115トン、輸出額は、同12.9パーセント増の9922万4000米ドル(99億2240万円:1米ドル=100円)とそれぞれ増加した(表11)。主な輸出先は、中国(輸出量占有率21.2%)、メキシコ(同21.0%)、米国(同14.7%)、プエルトリコ(同10.2%)であり、これら4か国で総輸出量の約7割を占めている。
チリの鶏肉生産は基本的には国内向けであるが、国内市場がほぼ開拓された状態にあることから大幅な成長は期待できないため、輸出に活路を見出している。世界市場においてチリ産鶏肉の占める割合はそれほど大きくはないが、自由貿易協定や付加価値製品への対応などにより市場拡大を進めている。ここ数年の輸出拡大先のひとつがプエルトリコであり、ムネ肉などを中心に輸出を伸ばしている。また、主要輸出先として中国向けが安定しており、輸出量の約7割をもみじと内臓類で占めている。米国向けもムネ肉を中心に増加傾向が続いている。なお、輸出は全て冷凍品である。
輸出条件の良かったメキシコ、米国などの市場への仕向けが大きく増えたことにより、日本向け輸出量は前年同期比71.6パーセント減の311トン、輸出額は同89.8パーセント減の76万9000ドル(7690万円)と大幅に下回った。
表11 チリ産鶏肉の国別輸出状況
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資料:チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)
注:冷凍カット(HSコード:020714)
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今後の見通しとしてODEPAでは、今年4月に実施された輸入トウモロコシに対する関税率9.7パーセントの暫定セーフガードの適用が、鶏肉の輸出入に影響を及ぼすとしている(図8)。チリでは国内の飼料用トウモロコシ生産は増加しているものの、供給が追い付いておらず、大部分が輸入に依存している。このため、暫定セーフガードの適用は直接生産コストに跳ね返り、国内製品の競争力を低下させることになり、一方で、国内の鶏肉価格が上昇すれば、鶏肉の輸入が増加することになるとしている(図9)。
(調査情報部 横打 友恵)
図8 チリのトウモロコシの輸入先国
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資料:ODEPA
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図9 生産者価格(生体1kg)および卸売価格(丸どり)の推移
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資料:ODEPA
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