需給動向 海外

◆タ イ◆


2013年第1四半期の鶏肉生産量は増加、輸出は伸び悩み

◇絵でみる需給動向◇


2013年1〜3月の生産量は前年同期比3.6パーセント増

 タイ農業・協同組合省によると、2013年第1四半期(1〜3月)のブロイラー処理羽数は2億6231万羽(前年同期比3.6%増)、鶏肉生産量は35万9000トン(同3.6%増)と見込まれる(図10)。

 最近の配合飼料価格の高騰や、今年1月に政府が実施した最低賃金の引き上げにより、鶏肉生産コストは上昇している。一方で、供給過多により需給が緩んでいることから、生産コスト増加分の小売価格への転嫁は難しく、現在、養鶏業者の一部では、生産規模を縮小する動きもみられる。

図10 食鳥処理羽数の推移
資料:タイ農業・協同組合省
 このため、今後、供給過剰を解消するため、生産は縮小に動くとみられており、ブロイラーの価格は、上昇基調に転じる可能性が出てきた(図11)。輸出の決済通貨である米ドルに対してバーツ高で推移する為替相場と相まって、鶏肉輸出量の減少が懸念される。
図11 ブロイラーの農家販売価格と鶏肉の小売価格の推移
資料:タイ農業・協同組合省(農家販売価格)、
    タイ国内通商局(小売価格)

2013年1〜5月の輸出量は前年同期比4.3パーセント減

 2013年1〜5月の鶏肉輸出量は、米ドルに対してバーツ高で推移した為替相場の影響で前年同期比4.3パーセント減の20万2809トンとなった。冷蔵・冷凍鶏肉輸出は、EU向けが好調となり3割増と大幅に伸びたものの、輸出量の8割を占める鶏肉調製品では、為替相場と食用油などの加工原材料の値上げなどが影響し、1割減となった。

 品目別でみると、冷凍鶏肉(HSコード:020714(カット品))が3万5718トン(前年同期比40.0%増)で、主な輸出先はラオス向けが1万8348トン(同74.2%増)、前年は実績の無かったEU向けが7,459トンとなった(図12)。
図12 冷凍鶏肉(カット品)輸出量(1〜5月)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:020714

 冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は2万5790トン(前年同期比65倍)となり、そのほとんどはEU向け(2万5628トン)であった(図13)。
図13 冷凍加塩鶏肉輸出量(1〜5月)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:021099

 鶏肉調製品(HSコード:160232)は16万7009トン(前年同期比9.4%減)で、主な輸出先は日本向けが7万7661トン(同4.2%減)、EU向けが7万3797トン(同9.1%減)となった(図14)。
図14 鶏肉調製品輸出量(1〜5月)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード:160232

                                      (調査情報部 宗政 修平)


元のページに戻る