需給動向 国内

◆飼 料◆

平成25年7〜9月期の配合飼料供給価格は前期比約1,300円の値上げ


◇絵でみる需給動向◇


 全国農業協同組合連合会(全農)は6月21日、平成25年7〜9月期の配合飼料供給価格を発表した。前期(25年4〜6月期)と比較して、全国全畜種総平均でトン当たり約1,300円の値上げと、25年1〜3月期の据え置きを挟み5期続けて値上げとなった(図11)。今期は、世界的に需要が旺盛な大豆かすを中心にシカゴ定期が上昇することに加え、円安の進行により大幅な価格上昇が見込まれることが、値上げの主な要因となっている。主な商系飼料メーカーおよび専門農協では、全農と同様に前期と比較してトン当たり約1,300円〜1,650円の値上げとなった。
図11 配合飼料供給価格増減の推移(全農)
資料:全農
  注:価格増減(累計)は、平成21年1〜3月期を起点とした、全国全畜種総平均トン当たりの増減額
 全農をはじめとした飼料メーカーが、今回の価格改定に当たり公表している飼料穀物に関する情勢の概要は次のとおりである。

1 飼料穀物(トウモロコシ)

(1)米国産トウモロコシは、旧穀在庫が逼迫基調。

(2)4月から5月にかけて、米国産地が低温・多雨傾向となったため、作付が例年より大幅
   に遅れ。

(3)今後は、新穀の生産高が過去最高水準になるとの予想から軟化が期待される一方
   で、シカゴ定期は、作柄に大きな影響を与える夏場の受粉期に向けて天候に大きく
   左右されるものと見込まれる。

2 大豆かす


(1)米国産大豆かすは、旧穀在庫が逼迫基調。

(2)南米産大豆は豊作であるものの、ブラジルのインフラ不備による輸出停滞や中国等
  から強い輸入需要がある状況。

(3)このため、米国産大豆に対する需要が高まり、シカゴ定期大豆かす相場を押し上げ
  る要因となっている。

3 海上運賃

(1)引き続き新造船の就航により、船腹供給が増加しているが、世界経済の先行き
  不透明感により、海上運賃はドルベースでは低値横ばいで推移している。

4 外国為替

(1)日銀の金融緩和政策の継続に加え、米国の景気回復も見込まれ円安で推移する
  見込み。

農林水産省が配合飼料価格高騰緊急対策を公表

 農林水産省は6月21日、穀物価格の高止まりなどによる配合飼料価格の高騰に対応するため、配合飼料価格高騰緊急対策を公表した。同省では、昨年秋以降の配合飼料価格の高騰に対応して、昨年9月および今年3月にも配合飼料価格安定制度の安定運用を柱とした配合飼料価格高騰対策を講じてきている。

 今回の主な対策は次のとおりである。

(1)考え方

   平成25年7〜9月期の配合飼料価格は、対前期(平成25年4〜6月)比でトン当たり
  1,450円の値上げ。
   一方、配合飼料価格安定制度の通常補てん基金は、昨年秋以降の飼料価格の
  高騰に対応し補てんを続けてきているため、補てんを十分に行うことができない状況。
   このような状況下、畜産経営の維持・安定と国産畜産物の安定供給を図るため、
  特例的に緊急の措置を講じるもの。

(2)仕組み

   各畜産経営に対し、7〜9月期の補てん重量に応じ、トン当たり1,325円を特別
  交付金として独立行政法人農畜産業振興機構を通じて交付。

(3)事業実施主体


  公益社団法人配合飼料供給安定機構

(4)所要額

  81億円

農業生産資材のうち配合飼料の平成24年価格指数は前年比0.7ポイント増

 農林水産省は6月25日、平成24年の農業物価指数(平成22年基準)を公表した。24年の配合飼料の価格指数は108.1(前年比0.7%増)となった。24年10月から配合飼料価格が上昇した結果、年間の価格指数は前年をわずかに上回った(図12)。

 25年の月別配合飼料価格指数は、4月以降、配合飼料価格が一段と上昇したため、直近の5月には120.3に達している。これは、配合飼料価格が高騰した20年の価格指数117.5を超える水準となっている。

                                      (調査情報部 井田 俊二)


図12 配合飼料の年別価格指数
資料:農林水産省「農業物価指数」

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