農林水産省が平成25年7月2日に公表した「畜産統計」によると、2月1日現在の酪農家戸数は、1万9400戸(前年比3.5%減)と、前年から700戸減少し2万戸を割り込んだ。酪農家戸数は15年に3万戸を割り込み、その後も厳しい経営環境の下で減り続け、最近10年間で1万戸減少した。また、乳用牛の飼養頭数も142万3000頭(同1.8%減)と、前年より2万6000頭減少した。
この結果、1戸当たりの飼養頭数は73.4頭となり、前年より1.3頭増加した。
経産牛、未経産牛ともに減少
乳用牛飼養頭数の内訳を見ると、経産牛は92万3400頭(同2.0%減)となり、2年ぶりに減少した。未経産牛は50万100頭(同1.2%減)と2年連続で減少した(図8)。飼養頭数は昭和60年をピークに減少傾向にある。また、今回の未経産牛の結果から、今後も経産牛の減少傾向が続くものと見込まれる。
図8 乳用牛の飼養頭数の推移 |
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資料:農林水産省「畜産統計」
注:数値は各年2月1日現在 |
北海道でも飼養頭数が減少
北海道の酪農家戸数は7,130戸(同1.9%減)、飼養頭数は80万6800頭(同1.8%減)であった。酪農家戸数の減少率は、都府県よりはゆるやかであるものの、長期的に漸減傾向にある。飼養頭数は、昨年までの直近5年間は、82万頭前後で推移していたが、今回は81万頭を下回る結果となった。
地域別では九州地方の飼養頭数が0.4%増
北海道を除く都府県の酪農家戸数は1万2270戸(同4.1%減)、飼養頭数は61万6200頭(同1.7%減)であった。特に近畿と四国の減少率は、酪農家戸数で4パーセント台、飼養頭数で6パーセント台と大きかった。一方、九州においては、酪農家戸数は1,880戸(同4.6%減)と減少しているものの、飼養頭数は12万200頭(同0.4%増)と、2年連続で前年を上回った。中でも、九州最大の酪農地帯である熊本県の飼養頭数が、3年連続で増加したことは特筆される。
北海道の飼養規模拡大はゆるやかに
1戸当たりの飼養頭数を見ると、北海道、都府県ともに増加しているが、北海道は113.2頭(前年から0.1頭増)となり、近年の拡大傾向は落ち着いた結果となった。一方、都府県は50.2頭(同1.3頭増)と、今回初めて50頭台に達した(図9)。北海道では酪農家の労働力の問題などから、規模拡大の速度がゆるやかになっている一方、都府県においては酪農家の高齢化や後継者不足は深刻度を増しており、中小規模酪農家の離農や、メガファームの台頭などを考慮すると、今後も1戸当たりの飼養規模は拡大傾向で推移するものと考えられる。
(畜産需給部 岡 久季)
図9 乳用牛の飼養戸数の推移 |
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資料:農林水産省「畜産統計」
注:数値は各年2月1日現在 |
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