需給動向 海外

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豚枝肉価格はわずかに上昇も、EU域外輸出はふるわず


◇絵でみる需給動向◇


2013年6月の豚枝肉卸売価格、前年同月比2.5パーセント高

 欧州委員会によると、EUの6月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり172.06ユーロ(22,368円:1ユーロ=130円)と、前月からやや値を上げ、前年同月比2.5パーセント高となった(図5)。
図5 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会
 EUの豚肉価格は、ヨーロッパ全域で続いていた低温と降雨などにより、バーベキュー向けなどの消費需要が低迷していたが、6月中旬から天候が回復してきたことに加え、ロシア向けを中心に豚肉輸出量が上向いたことをうけ、価格は上昇基調に転じた。

 特に大きな上昇率を見せたのは、イタリアとフランスである。イタリアは、6月第1週(6月3〜9日)は164.66ユーロであったが、6月最終週(6月24〜30日)には184.88ユーロに達し、およそ1カ月のうちに21ユーロ(12.3%高)の上昇となった。フランスも、6月第1週の157.00ユーロから、6月最終週に170.00ユーロへ達し、同期間に13ユーロ(8.3%高)の上昇をみせた。

EU域外への豚肉輸出量は減少傾向

 また、2013年1〜4月のEU域外への豚肉輸出量は、今年に入り初めて前月を上回ったものの、前年同期比3.6パーセント減の46万6000トンとなった。なお、内臓等も同程度減少し、44万3000トン(同3.5%減)となった(表10)。

 減少が大きかったのはロシア向けであり、豚肉で前年同期比4.1パーセント減、内臓等で同7.2パーセント減となった。2012年前半はユーロ安の後押しを受け、ロシア向け輸出は好調であったが、同年後半から今年にかけ、ユーロ高の進行とEU域内の豚肉価格が高い水準を維持していることから、前年同期比で減少している。このため、EUの豚肉輸出は前月を上回ったものの、前年割れの状態が続いている。ロシアと同様に、ウクライナ、ベラルーシ向けも前年割れが続いている。

 一方、アジア向けは韓国、香港を除いて輸出量が増加しており、中国向け豚肉は前年同期と比べ85.1パーセント増の8万7000トン、日本向けが6.9パーセント増の7万500トンとなった。

表10 EU域外への豚肉等輸出量(2013年1〜4月)
資料:欧州委員会
  注:製品重量ベース

飼料価格は高水準を維持、豚肉生産へさらなる影響も

 欧州委員会によると、2013年6月の豚用配合飼料価格は1トン当たり322ユーロ(41,860円)と、前月に比べ価格は4ユーロ低下したものの、前年同月比で8.3パーセント高と、依然として高い水準にある(図6)。
図6 豚用飼料価格の推移(EU)
資料:欧州委員会
 また、豚用の主要な飼料原料である大豆かすの価格は、再び上昇基調にあり、今後、配合飼料価格の高騰が予測されている(図7)。豚肉価格が停滞するなか、飼料コスト上昇により養豚経営の収益性悪化が懸念される状況にある。
図7 大豆かす価格の推移(EU)
資料:欧州委員会
  注:アルゼンチン産大豆かす(粗タンパク含有量44%)のオランダロッテルダム港CIF価格
                                       (調査情報部 宅間 淳)

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