需給動向 国内 |
平成25年度上半期(4〜9月)の牛肉の需給動向は、輸入量が大きく増加したことに伴い、推定期末在庫量が約10年ぶりの高水準となったことが大きな特徴であった。 上半期の輸入量は、29万5859トン(同7.3%増)と、前年同期をかなりの程度上回った(図1)。内訳を見ると、冷蔵品は11万3418トン(同0.1%増)と前年並みであった。一方、冷凍品は、業界内でのセーフガード発動回避の動きに伴い月毎の変動が大きいものの、景気回復への期待感による需要増加を見込んだ動きなどから、18万2145トン(同12.3%増)とかなり大きく増加した。国別に見ると、豪州産が14万7422トン(同10.4%減)とかなりの程度減少した一方、米国産が11万3572トン(同48.9%増)と大幅に増加した(図2)。豪州産が減少した背景には、本年2月の月齢制限緩和措置による米国産牛肉へのシフトに加え、強い購買力を持つ他の輸入国との競合があると考えられる。
上半期の生産量は、17万3481トン(前年同期比1.4%減)と、わずかに減少した。品種別では、和牛が7万8914トン(同1.7%減)、乳用種が5万4219トン(同4.2%減)と減少し、交雑種は3万8035トン(同3.5%増)と増加した。和牛は22年の口蹄疫発生の影響などにより、減少傾向が継続している。また、21〜22年頃の生乳需要緩和を背景とした、酪農経営における搾乳牛の淘汰や黒毛和種の交配率上昇により、乳用種は減少し、交雑種は増加傾向で推移している。 引き続き頭数不足が国産卸売価格を下支え国内生産量の減少による不足感から、今年度上半期の国産枝肉卸売価格は前年を1〜5割程度上回って推移してきた。下半期に入ってもその傾向は継続しており、東京市場における10月の同価格(速報値)は去勢和牛A−4がキログラム当たり1,953円(前年同月比16.5%高)、交雑種去勢牛B−3が同1,305円(同19.1%高)、乳用種去勢牛B−2が同793円(同35.8%高)と、いずれも高水準を維持している(図3)。
(畜産需給部 田中 あや)
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