需給動向 海外

◆中 国◆

粉乳消費は堅調、需要を輸入量の増加でカバー


粉乳消費の伸びを、輸入でカバー

 米国農務省(USDA)が公表した2013年の中国の粉乳需給予測によると、全粉乳は、生産量が前年比5.2パーセント増の122万トン、輸入量が同18.2パーセント増の48万トンと増加し、消費量は同10.3パーセント増の171万トンと見込んでいる(表6)。また、脱脂粉乳は、生産量が同1.8パーセント増の5万8000トン、輸入量が同10.1パーセント増の18万5000トンと増加し、消費量は同8.0パーセント増の24万3000トンと見込んでいる(表7)。

表6 全粉乳需給の推移
資料: USDA 「GAIN Report」 2013年6月公表
  注:2012年は推定値、2013年は予測値
表7 脱脂粉乳需給の推移
資料: USDA 「GAIN Report」 2013年6月公表
  注:2012年は推定値、2013年は予測値
 

USDAは、2013年の牛乳・乳製品の消費量について、低温殺菌牛乳やUHT牛乳、発酵乳などの飲用向け製品の需要の増加により、前年比6.4パーセント増の3622万トン(生乳換算)と見込んでいる。粉乳を中心とした牛乳・乳製品の消費拡大基調は2013年も持続し、不足分を輸入量の増加でカバーするものとしている。

粉乳の輸入は、増加傾向

 2013年1〜9月の全粉乳の輸入量は、前年同期比27.8パーセント増の38万7790トンと大幅に増加した(表8)。内訳は、輸入量全体の93.2パーセントを占めるニュージーランド(NZ)が、同23.3パーセント増の36万1527トンとなった。

表8 全粉乳の国別輸入量
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード040221、040229
 脱脂粉乳の輸入量は、同10.9パーセント増の15万4782トンとなった(表9)。内訳は、輸入量全体の52.6パーセントを占めるNZが、同7.4パーセント減の8万1451トンとなったものの、輸入シェア22.6パーセントの米国が、同104.6パーセント増の3万4974トンと倍増したことで、輸入量全体では、前年を上回る状況となった。
表9 脱脂粉乳の国別輸入量
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード040210
 2013年第3四半期の脱脂粉乳の輸入量は、前年同期比で2倍に急増した。NZの輸入量はほぼ横ばいであったが、需要拡大に伴う好調な乳価、飼料コストの低下などにより、生乳生産が順調な米国が、その増加分を補うかたちとなった。
表10 脱脂粉乳の国別輸入量(四半期毎)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード040210

牛乳・乳製品価格、好調な需要を背景に増加基調が続く

 USDAは、全粉乳需要増加の要因として、還元乳やヨーグルトなどの需要増加を挙げているが、中国国内の牛乳やヨーグルト類の小売価格は、トウモロコシ価格の高騰などを要因とした生乳取引価格の上昇や需給のひっ迫などにより上昇基調にある。2013年10月の小売価格は、牛乳が前年同月比7.9パーセント高のリットル当たり9.85元(167円:1元=17円)、ヨーグルト類が同4.0パーセント高の1キログラム当たり12.77元(217円)となった(図28)。今後、所得の増加や食生活の変化が進むことにより、牛乳・乳製品の需要は、都市部だけでなく農村部へも拡大することが予測され、粉乳需給や小売価格に影響を及ぼすものと考えられる。
図28 牛乳およびヨーグルト類の小売価格の推移
資料:中国商務部

                                      (調査情報部 山ア 博之)


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