米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は11月8日に2013/14穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通しを公表した。これによると、米国のトウモロコシ生産量は、単収が前回(9月)の予測から上方修正されたため、増加となった。
作付遅延および乾燥天候にもかかわらず、単収は前年を大きく上回る
米国のトウモロコシ生産量は、収穫面積が前月より190万エーカー(76万ヘクタール)減少となったものの、トウモロコシの生育が順調であったことから、主要生産5州のうち、ミネソタ州を除いて単収が増加し、全米平均では9月予測比5.1ブッシェル/エーカー上方修正された。これにより、生産量は、139億8900万ブッシェル(3億5532万トン)と前回の見通しから1億4600万ブッシェル(371万トン)上方修正された(表13)。また、輸入量は、増産見通しから前回の予測値に据え置かれた。一方、消費量は、トウモロコシ価格の下落見通しによる飼料向けの増加に加え、輸出向けも上方修正されたことから、前回から2億7500ブッシェル(699万トン)増の129億5000万ブッシェル(3億2900万トン)とされた。
なお、エタノール向けは既に2012年にブレンドウォール注に達しているとみられており、米国環境保護庁(EPA)が定めているガソリンへのエタノール混合比率が引き上げられなければ、USDAの予測値は過大であるとの見方がある。一方、EPAは11月15日に2014年の再生可能燃料基準(トウモロコシ由来のエタノールを含む)を公表した。これによると、2014年は2007年に設定した181億5000万ガロンから152億1000万ガロンへ削減される。このため、今後、エタノール向け需要は減少する可能性がある。
期末在庫量は、増産により総供給量が上方修正されたことから、18億8700万ブッシェル(4793万トン)と前回から3200万ブッシェル(81万トン)引き上げられ、期末在庫率は14.6パーセントと前年度を大幅に上回るとみられている。
また、生産者平均販売価格は、豊作により在庫水準が高くなる見込みから、前回の値から下値、上値がそれぞれ引き下げられ、1ブッシェル当たり4.10〜4.90ドルと予測されている。
注:米国では、ガソリンに一定量のエタノールを混合するよう義務づけている。「ブレンドウォール」とは、ガソリン需要の低下から現在の混合割合(10%)では、エタノール利用量が飽和点に近づいていることを示す。
表13 米国におけるトウモロコシ需給の見通し(2013年11月8日米国農務省公表)
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資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
注:年度は、各年9月〜翌8月
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(調査情報部 山神 尭基)
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