米国および中国が輸出増をけん引
豪州農漁林業省(DAFF)によると、2012年12月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)は8万6229トン(前年同月比5.1%増)となった。これにより、2012年の輸出量は96万3779トン(前年比1.5%増)と、2008年(95万7482トン)を上回り、過去最高となった。2012年の輸出をけん引したのは、米国向けおよび中国向けの増加である。米国向けは22万4111トン(前年比33.5%増)、中国向けは3万2906トン(同4.2倍)となった。
表2 国・地域別輸出量(2012年上位10カ国・地域) |
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資料:DAFF
注1:船積重量ベース
注2:CISはロシア他 |
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、米国では国内の加工用牛肉の減産から豪州産加工用牛肉への引き合いが強まった。また、同年の米国向け加工用牛肉の平均輸出価格(FAS、経産牛、90CL)がキログラム当たり403.1豪セント(371円:1豪ドル=92円)と前年比5.3%高となったことや、ロシアの豪州産加工用牛肉への需要減なども、豪州側が加工用牛肉を米国に仕向けるインセンティブにつながった。
中国については、国内の牛肉需要の高まりによる供給ひっ迫が中国向け輸出増の要因になったとみている。特に2012年後半に大きく増加し、12月には前年同月の12倍と輸出量を伸ばした。
また、2012年後半以降、豪州東部は乾燥状態が続いており、牧草の生育状況の悪化が懸念されることから肉牛の出荷が増加し、これが牛肉生産量の増加や肉牛価格の下落につながった。こうしたことも、同年後半の輸出増の要因とみられる。
日本向けは1割減と、2003年に次ぐ低水準に
一方、2012年の日本向け輸出量は30万8537トン(前年比9.8%減)となり、輸出シェアも前年から4.1ポイント減の32.0%となった。豪州産牛肉の日本向け輸出量は、日本で米国産がBSE発生により輸入停止となった2004年に大きく増加し、輸入が本格的に再開された2006年以降は一貫して減少している。2012年は、2000年以降でみると、2002年、2003年に次ぐ低水準となった。
カテゴリー別では、冷蔵グレインフェッド牛肉は、日本国内の牛肉需要の低下や米国産牛肉との競合が響き、8万5720トン(同7.7%減)となった。また、冷凍グラスフェッド牛肉についても、米国や中国、東南アジアからの引き合いが増し、豪州産冷凍牛肉価格が上昇したことから、日本向けは14万929トン(同9.2%減)となった。
図3 牛肉輸出量の推移 |
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資料:DAFF |
表3 日本向け輸出量の内訳 |
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資料:MLA |
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