需給動向 国内

◆飼 料◆

平成25年1〜3月期の配合飼料供給価格は据え置き


◇絵でみる需給動向◇


 全国農業協同組合連合会(全農)は12月14日、平成25年1〜3月期の配合飼料供給価格を発表した。前期(24年10〜12月期)は、米国中西部で発生した記録的な干ばつによる不作を背景として、全国全畜種総平均でトン当たり約4,350円の大幅な値上げとなったが、今期は、米国産トウモロコシ期末在庫予想数量が引き続き低水準であること、円安基調が継続する見込みであることなどから前期価格を据え置くこととした。全農以外の主な商系飼料メーカー及び専門農協も同様に前期価格を据え置くこととした(図12)。

 全農をはじめとした飼料メーカーが、今回の価格改定に当たり公表している飼料穀物に関する情勢は次のとおりである。

1 飼料穀物(トウモロコシ)

 (1)シカゴ定期トウモロコシ相場は、米国産トウモロコシの不作により9月初めまで1ブッシェル当たり8ドル台と高騰した。

 (2)その後、アルゼンチンの天候不良による価格上昇や、世界のトウモロコシ需要が南米・東欧を中心とする他国産へシフトしたことによる価格低下により、9月後半以降は1ブッシェル当たり7ドル台半ばで推移している。

 (3)今後は、生育期を迎える南米の天候が鍵となるが、米国の期末在庫が引き続き低水準であるため、底堅く推移すると見込まれる。
図12 配合飼料供給価格増減の推移(全農)
資料:全農
  注:価格増減(累計)は、平成21年1〜3月期を起点とした、全国全畜種総平均トン当たりの増減額

2 大豆粕

 (1)米国の干ばつにより大豆相場は夏場には大幅に上昇したものの、その後、単収が上方修正されたこと、南米の天候がおおむね順調なことから豊作期待が高まり下落傾向で推移している。

 (2)今後は、中国の大豆輸入が引き続き旺盛なこと、南米の大豆生産量は天候次第で大きく変動する可能性も高いことから、価格変動に注視していく必要がある。

 (3)国内大豆粕価格はシカゴ定期が下落しているものの、急激な円安の影響により小幅の値下がりが見込まれる。

3 海上運賃

 (1)米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、新造船の竣工と、世界的な景気の減速による海上輸送需要の減少により船腹需給が緩和していることから、現在は1トン当たり50ドルを下回る水準で推移している。

 (2)今後は、船腹需給は安定しているものの、中国向けの石炭や鉄鉱石の輸送需要が回復すると予想されることから、現状水準で推移するものと見込まれる。

4 外国為替

 (1)10月以降、米国の経済指標が軒並み良好な結果となったことや、日銀の追加金融緩和期待が高まったことにより円安基調で推移している。

 (2)今後は、日銀がさらなる金融緩和政策をとるとの期待から、円は弱含みで推移するものと見込まれる。

平成24年11月の飼料用トウモロコシ輸入量、ブラジル産が米国産を上回る

 財務省「貿易統計」によると、平成24年11月の飼料用トウモロコシ輸入量は、前年同期比5.8%減の87万5000トンとなった。国別では、ブラジル産が48万5000トン(同112.4%増)と10月に続き急増し、全体輸入量の55.4%を占めた。一方、これまで圧倒的なシェア(23年度では全体の86.1%)を占める米国産は10月よりさらに減少し、36万6000トン(同43.5%減)となったため、ブラジル産が米国産を上回った。

 24年度のトウモロコシ輸入量(4〜11月)の輸入量は651万7000トン(同7.1%減)と近年の減少傾向が一層顕著となっている。国別では、米国産が423万4000トン(同31.0%減)と特に干ばつが発生した6月以降輸入量が大幅に減少する一方、東欧・南東欧や南米といった米国以外からの輸入が増加した。特にブラジルについては、9月以降輸入が急増しており、98万1000トン(同108.3%増)と前年の2倍以上となっている。

 ブラジル開発商工省(SECEX)によると、2012年の同国からの日本向けトウモロコシ輸出量は、前年の約3倍の305万トンで、主要な輸出先であるイランや韓国を上回り最大となった(平成25年1月7日発 独立行政法人農畜産業振興機構 海外情報参照。http://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_000750.html)。

図13 飼料用トウモロコシの主要国別輸入量および前年同期比
資料:財務省「貿易統計」

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