需給動向 海外

◆豪 州◆


2012/13年度、チーズ、バター、脱脂粉乳が増産の見込み


◇絵でみる需給動向◇


2012/13年度の生乳生産量、前年度比1.3%増

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)が12月に発表した畜産物の需給見通しによると、2012/13年度(7月〜翌6月)の生乳生産量は、前年度比1.3%増の960万キロリットルと予測される。

 地域別で見ると、ビクトリア州北部(シェア約20%)およびニューサウスウェールズ州南部(同約6%)での生乳生産が好調である。これら2地域のシーズン当初(7〜11月)の生産量はそれぞれ、前年同期比7.9%増の92万4000キロリットル、同3.5%増の25万5000キロリットルとなっている。これは、かんがい用水が豊富なことが主な要因である。2012年12月初旬時点で、同地域の水がめであるマレーダーリング川流域におけるダム貯水率は約90%となっている。

 しかしながら乳価については、国際価格の低下を受けて、前年度比7.4%安の1リットル当たり39.0豪セント(36円:1豪ドル=92円)とかなりの下落が見込まれており、酪農家の今後の増産意欲への影響が懸念される。

チーズ、バター、脱脂粉乳を増産

 2012/13年度の乳製品生産量については、バターが前年度比1.7%増の12万2000トン、チーズが同5.9%増の36万トン、全粉乳が同1.4%減の13万8000トン、脱脂粉乳が同1.7%増の23万4000トンと予測される。生乳の増産を受けて、全体的に乳製品生産量は前年度を上回るとみられるが、全粉乳については収益性がほかの乳製品と比較して低いことから減産の予測となっている。

脱脂粉乳国際価格が堅調と予測

 ABARESは同予測の中で、2012/13年度の乳製品国際価格についても言及している。これによると、バター、チーズ、全粉乳については、EUの景気低迷などによる需要停滞から前年度の価格を下回るとみられる。一方で脱脂粉乳については、アジア、特に中国からの需要が底固いことから、前年度比1.1%高のトン当たり3,270米ドル(28万8000円:1米ドル=88円)と予測される。中国の脱脂粉乳輸入量は、2013年に前年比約16%増となる22万トンに達するとABARESは予測している。これは中国の国内消費量の約8割に相当する。
表9 乳製品国際価格、豪州乳製品生産量および乳価の推移

資料:ABARES
  注:2011/12年度は暫定値、2012/13年度は予測値

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