需給動向 海外

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2012年生乳生産量は前年比0.8%増


◇絵でみる需給動向◇

 LTO(オランダ農業園芸組織連合会)によると、域内主要乳業メーカー17社の11月の生乳平均価格は前年比2.6%安の100キログラム当たり34.70ユーロ(4,025円:1ユーロ=116円)となり、高水準で推移した2011年の価格水準に近づいた。また、12月もファーストミルク(英国)、デイリークレスト(英国)、フリースランドカンピナ(仏)などで生乳価格を引き上げると発表している。2012年の年間の生乳平均価格は、前年と比べて4%下がる見込みであるものの、2011年、2008年に次ぐ高水準としている。

 ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)によると、2012年のEUの生乳生産量は前年比0.8%増の1億4620万トンとなる見込みで、2011年の同2.1%増と比べて増加率が鈍化した。2012年の生乳生産動向は、年初は前年の生乳価格が高水準したことで生産が堅調であったものの、春先から初夏にかけて一部地域で干ばつおよび多雨による影響で生産は伸び悩んだ。生乳価格は年初から春先にかけて増産の影響で下落、その後の減産により価格を押し上げるなど価格変動が大きい年となった。

 ZMBは、生乳生産を左右する要因は、天候と生乳価格などによる利益性であるとしている。
図11 EUにおける生乳価格の推移
資料:LTO
  注:域内主要乳業17社の平均値

2012年、乳製品輸出が好調、2013年、生乳生産量は微増

 ZMBによると、2012年の生乳価格は、加盟国間に差はあるものの、前年が高水準で推移したこと、年初の増産で価格が低下したことにより、前年比6%安となった。2012年の牛乳・乳製品の消費量は、価格の低下によりわずかに増加し、年間1人当り250キログラム(生乳換算)であった。EUは、2009年の酪農危機の際に介入買入れを行い、バターと脱脂粉乳を公的在庫としていたが、この在庫は生乳生産量の伸びの鈍化により、2012年内にすべて消費された。また、EUからの乳製品の輸出量(生乳換算)は4年連続で増加し、生乳生産量の12%に相当する1660万トンに達すると見込まれている。品目では、チーズが最も多く、過去最高の76万トンに達すると見込まれている。

 ZMBは、2013年も引き続き生乳生産の増加見通しを示している。生乳増産の要因は、2015年の生乳クォータ廃止を目前に控え最後のクォータの増加(前年1%増。ただし、イタリアを除く)の影響を挙げている。ただし、減少要因として、2012年下半期からの飼料費の高騰による生産費の上昇を懸念材料としている。

 なお、市場へのその他の影響として、3月1日からの民間在庫補助の開始、クロアチアのEU加盟、FTA交渉を挙げているが、いずれの要因も天候と酪農の収益性に比較すれば価格変動要因としては小さいとしている。
図12 EUにおける乳製品輸出量(1〜10月)

資料:ZMB
  注:2012年は暫定値
表8 EUにおける生乳需給バランス

資料:ZMB
  注:2011年および2012年は暫定値


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