需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成24年11月の推定期末在庫、半年ぶりに取り崩し


◇絵でみる需給動向◇


 豚肉の在庫は、全体の約85%を輸入冷凍豚肉が占めており、例年1月から6月にかけて積み増しが進み、夏場のお中元需要、年末のお歳暮需要などにより、7月から12月にかけて取り崩しが進む傾向にある。しかしながら、平成24年度は4月以降輸入申告に係る審査・検査の充実が図られ、通関が遅れたことから、6月から10月にかけて在庫の積み増しが続き、例年とは異なる推移となった。

 こうした中、平成24年11月の推定期末在庫は、輸入品15万6134トン(前年同月比6.2%増)、国産品2万785トン(同3.6%減)、合計17万6919トン(同5.0%増)となり、前月に比べ3,845トン減少し、半年ぶりに取り崩しが進んだ(機構調べ)。これは、6月以降の積み増しにより、10月の推定期末在庫が18万トンを超え、今年度最大となったことに加え、11月の輸入量が前年同月を大幅に下回ったためとみられる。

11月の輸入量、大幅に減少

 平成24年11月の豚肉輸入量は、6万3920トン(同16.5%減)となった(財務省「貿易統計」)。豚肉輸入量の約2/3を占め、主に加工に仕向けられる冷凍品は、4万284トン(同24.2%減)と前年同月を大幅に下回った。これは、前年同月が高水準であったことに加え、10月までに年末需要に向けた加工原料の確保が進み、11月の買付け数量が少なかったためと思われる。なお、テーブルミートに仕向けられる冷蔵品は、2万3634トン(同1.4%増)と前年同月をわずかに上回った。これは、競合する国産豚肉の11月の枝肉卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)がキログラム当たり396円(農林水産省「食肉鶏卵速報」)と低調に推移しているものの、より安価な鍋物商材として、輸入冷蔵品の「かたロース」や「ばら」に一定の需要があるためと推察される(図2)。

図2 豚肉の推定期末在庫と輸入量の推移

11月の輸入冷凍豚肉の仲間相場、軒並み上昇

 輸入量が大幅に減少したことから、平成24年11月の輸入冷凍豚肉の仲間相場は、デンマーク産「かたロース」はキログラム当たり520円(同6.5%高)、米国産「うで」は同403円(同8.2%高)、カナダ産「ばら」は同525円(同5.7%高)など、おおむね前年同月を上回った(機構調べ)。特に「かたロース」や「ばら」については、鍋物商材として需要が高まっていることから、冷蔵品だけではなく、冷凍品の引き合いも高まっているものと推察される(図3)。
図3 輸入冷凍豚肉の仲間相場の推移

 今後の在庫の見通しについては、例年であれば、1月以降積み増しが進むが、今年度はすでに10月まで積み増しが進んでいることに加え、引き合いの高まりなどから仲間相場も前年を上回って推移している。よって例年と異なり取り崩しが進むことも考えられる。


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