日本向け、グレインフェッドの不振が響く
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、日本向けの11月輸出量(船積重量ベース)は、前年同月を17.0%と大幅に下回る2万7800トンとなった。また、1〜11月の累計でも、前年同期から8.5%減となる28万5400トンと低迷している。これは、グレインフェッドの輸出の不振によるもので、グレインフェッド輸出量は同11.8%減の11万5400トンと落ち込んでいる。この要因についてMLAは、日本国内における消費者の低価格志向や豪ドル高に伴う米国産との価格競争力の低下を挙げている。
表1 日本向け輸出量の推移 |
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資料:MLA |
豪州全体としては増加、中国向けが急増
豪州全体の輸出量としては、1〜11月の累計で前年同期比1.2%増の87万7500トンとわずかながら増加しており、国別で大きな変動が見られる。
米国向けは、11月の輸出量は米国内の供給増などを受けて前年同月を約2割下回ったものの、1〜11月では干ばつによる減産に伴う豪州産加工牛肉への需要増や米ドル安により、前年同期比33.2%増の20万2300トンと大幅に増加している。一方で、韓国向けの1〜11月の累計は、国内在庫の増加による輸入需要の低下などから、同16.3%減の11万2100トンと落ち込んでいる。ただし、10〜11月にかけては、米国産の減産懸念から、需要期に向けて豪州産で手当したことなどにより増加傾向で推移している。
特に注目すべきは、中国向けである。11月の中国向け輸出量は、需要増を反映して前年同月の約8倍超の水準となる、8,000トンとなった。1〜11月の累計でも前年同期の3.5倍となる2万5500トンとなっており、うち冷凍が2万3700トンを占めている。
表2 国別牛肉輸出量 |
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資料:MLA |
今後3カ月間の降雨量に注目
豪州産牛肉輸出量が堅調に推移している背景には、2012年6〜11月の気候が乾燥気味となり、と畜が進み生産量が増加したことが挙げられる。2010年以降、豪州では降雨に恵まれ、牛群の再構築が進んでいたが、乾燥気味の気候が続いていることで、これを再検討する農家もあるという。12〜翌2月までの間の降雨量は、豪州東部および西部は平年を上回る可能性が高いとみられるものの、引き続き気象動向に注目すべきであろう。
図1 6〜11月までの降雨量 |
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資料:豪州気象局
注:白色が平均で、赤いほど平均よりも降雨量が少なく、青いほど降雨量が多い |
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