牛肉家計消費、前年並みも増加傾向は継続
総務省「家計調査報告」によると、平成24年10月の牛肉の一人当たり購入数量は、前年並みとなる177グラムとなった。牛肉消費の約3割を占める家計消費量は、放射性セシウムの検出に伴う風評被害により昨年7月、8月にかなりの程度減少したものの、その後は徐々に回復に転じた。平成24年度に入ってからは、4月、6月を除き前年同月を上回っており、10月もその傾向が継続する形となった。
一方、牛肉の一人当たり支出金額は、前年同月比1.9%減の462円とわずかに減少した。デフレ下において食品全般の売り上げが低迷する中、牛肉の支出金額も平成20年度以降下落基調となっているが、各月における購入数量との関係を見ると、消費者の経済性志向を受け、比較的低単価の商品に消費の中心がシフトしていることが読み取れる(図1)。
図1 牛肉の家計消費の推移(前年同月比) |
|
資料:総務省「家計調査報告」
注:全国二人以上の世帯における一人当たり購入数量・支出金額の前年同月比
|
また、当機構調べ「食肉小売販売動向定点調査(POS調査、全国主要な地区の13量販店におけるレジ通過数量)」によると、平成24年10月の購買数量(レジ通過千人当たり)は、牛肉全体で前年同月比0.5%増の11.4キログラムと前年並みであった。内訳を見ると、国産品(和牛、国産牛)は同12.0%減の4.4キログラムとかなりの程度減少したものの、国産品よりも安価な輸入品(豪州産、米国産)は、同11.5%増の6.8キログラムとかなりの程度増加した。この結果からも、消費者の経済性志向が読み取れる。
外食産業、焼肉店は回復傾向が維持
家計消費以外の牛肉消費動向について、財団法人日本フードサービス協会「データからみる外食産業」によると、10月の外食産業全体の売上高が前年同月比12.1%減と減少する中、ファミリーレストラン焼肉店の売上高は同2.4%増とわずかに上昇した。
焼肉店の売り上げは、昨年、東日本大震災以降の外食離れ、放射性セシウム検出に伴う風評被害、ユッケ食中毒事故などの影響により、平成23年計では前年比7.7%減とかなりの程度落ち込んだが、その後、風評被害の払拭や、新メニューの投入などにより徐々に回復に転じた。平成24年3月以降は一転して前年を上回って推移しており、10月もその好調が維持される結果となった。
一方、牛丼店を含むファーストフード和風の売上高は、平成24年に入り4月、5月を除いて前年同月を上回って推移していたが、10月は前年同月比0.5%減と、回復傾向が一服する形となった。この要因について、同協会は、価格が高めの新メニューにより客単価が上昇したものの、利用客数が伸び悩んだためとしている(図2)。
12月は、歳末やお歳暮商戦により、肩ロース、スネなどのスライス材、煮込み材といった部位を中心に、牛肉消費のピークを迎える。また、忘年会のシーズンということもあり、外食需要が増加する季節でもある。牛枝肉卸売価格は、A−2、3等級といった中級グレードを中心に、昨年の低迷から脱する兆しを見せており、さらなる回復が期待される。
*総務省「家計調査報告」における購入数量・支出金額は、全国の二人以上の世帯に
おける一人当たり購入数量・支出金額
図2 外食産業の動向:業態別売上高の推移(前年同月比) |
|
資料:社団法人日本フードサービス協会
|
|