需給動向 海外

◆ブラジル◆

第3四半期の鶏肉輸出量は84万トンと前年同期比3.2%減


◇絵でみる需給動向◇


 2012年第3四半期(7〜9月)の鶏肉輸出量は、前年同期比3.2%減の84万5000トン、輸出額は同8.9%減の15億6000万ドル(1296億3600万円:1米ドル=83円)となった。主要輸出国で、輸出量が前年同期を下回った。

 輸出量を国別でみると、最大の輸出先はサウジアラビアで同7.8%減の16万716トン、次いで日本向けが同1.0%減の8万9213トン、香港向けが同28.9%減の6万8268トンとなった。日本向けの減少は、第1、2四半期に引き続いて日本の在庫過剰感が解消されていないことや、国内産鶏肉の供給過剰感があることが要因とみられる。

 ブラジル養鶏連合(UBABEF)は8月、ブラジル輸出投資振興庁(APEX)と共同で鶏肉の輸出促進を展開すると発表した。2010〜2012年にかけてもUBABEFとAPEXは同様の輸出促進を行っており、これに続く今回は2014年までに518万7000レアル(2億437万円:1レアル=39円)(うちAPEXが405万3000レアル(1億5969万円)を負担)を投じて、世界各国の食品展示会への出展やワークショップを実施する。
表4 第3四半期の鶏肉輸出
資料:ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)

生産コスト高から鶏肉生産量は横ばい

 2012年上半期の飼料穀物価格が高騰した影響で、ブロイラーの生産コストが上昇した。このため、生産者は飼養羽数を抑える傾向にあった。また、ふ化羽数の推移をみると、2011年以降、飼料穀物価格の上昇により収益性が悪化していることから、生産者は2012年上半期に種鶏を減羽したとみられる。これらを受け、鶏肉需給がタイトになったことから、ブロイラー生産者価格が7月末から9月中旬にかけて、生体1キログラム当たり1.8レアル(71円)から2.5レアル(99円)まで上昇し、そのまま高止まりしている。ただし、この価格水準でもまだ生産コストの上昇分は、まかないきれていないとみられ、前期に引き続き生産者の経営は厳しい状況にある。さらに、生産者価格に加え、卸売および小売価格も上昇傾向にある。
表5 ふ化羽数の推移
資料:ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)
表6 鶏肉生産量の推移
資料:ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)

ブラジル養鶏連合は2012年の鶏肉生産量予測を下方修正

 現地報道によると、ブラジル養鶏連合(UBABEF)は2000年以来、初めて鶏肉生産量(調製品含む)が前年度と比べ減少するとの見通しを発表した。2012年の生産量は、当初、1340万トンと前年の1305万トンを上回ると予測されていたものの、今回、前年比4.2%減の1250万トンに下方修正された。これは、生産者が生産コスト上昇への対応として、飼養羽数を減らしたことが要因とされる。

図7 生産コスト(生体1キログラム当たり)の推移
資料:ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)
注1:2010、2011年は通年平均,2012年は1〜9月平均
  2:パラナ州の生産コスト
  3:パーセンテージは総生産コストに占める飼料費の割合
図8 生産者、卸売および小売価格の推移

資料:ブラジル食糧供給公社(CONAB),サンパウロ州農務局農業経済研究所(IEA)

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