需給動向 国内 |
鶏肉調製品輸入量、過去最高を記録
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平成24年10月の鶏肉調製品輸入量は、4万3092トン(前年同月比13.1%増)と、過去最大であった8月の同輸入量をさらに上回る水準となった(図5)。これは、クリスマスや年末の需要に向けた手当てが始まったことが理由の一つと考えられる。また、既報の通り、国内生産量が回復した後も同輸入量が高水準で推移していることは、外食・中食産業における鶏肉需要が好調であることの表れと言えるが、特に、から揚げなど、コンビニエンスストア販売用の鶏肉調理品への引き合いが強いことが最近の調製品需要の特徴であり、当面はこの傾向が続くとみられる。 また、10月の鶏肉輸入量は、3万5104トン(同3.3%増、図5)、生産量は12万7974トン(同3.2%増、図6)と、いずれも前年を上回って推移している。
国産鶏肉相場は回復基調ながら注視が必要12月の最需要期に向けた手当てが活発化していることに加え、11月中旬以降は気温低下が進み、鍋物需要が高まった。こうしたことなどから、11月の国産卸売価格は、もも肉がキログラム当たり573円(前年同月比5.6%安)、むね肉が同227円(同8.8%安)(図7、農林水産省「食鳥市況情報」)と、13カ月連続で前年同月を下回っているものの、両者の差は今年度当初と比較して徐々に縮小してきた。業界関係者によると、11月上旬から12月上旬にかけての引き合いは、例年の同時期と比較してもやや強く、また秋口に予想されたよりも気温低下が進んだことから、さらなる価格上昇を期待する声も聞かれる。しかし、上述の通り10月の供給量は前年を上回っており、また、10月の推定期末在庫は国産品、輸入品ともに前月に引き続き取り崩しが進んだものの、それぞれ3万5314トン(同16.1%増)、11万4250トン (同6.3%増)と、いずれも依然として前年を上回っていることから(図6)、最需要期においても前年を大きく上回るほどの価格上昇は見込まれないとみる向きが強い。 国産鶏肉は、平成20年後半以降、停滞感が続く景況を背景に、低価格を理由として需要を拡大してきた経緯があるため、価格上昇の程度によっては、豚肉や輸入鶏肉に需要を奪われる可能性がある。また、今後の輸入量については、現在高止まりしているブラジル産鶏肉の現地価格や、円安傾向にある為替相場といった不確定要素が多く、見通しが立たないため、年明け以降の国産鶏肉の需給動向は不透明である。
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