2011/12年度の生乳生産量、前年度から1割増
ニュージーランド家畜改良公社(Livestock Improvement Corporation、以下「LIC」)およびデーリーニュージーランド(以下「DairyNZ」)によると、2011/12年度(6月〜翌5月)の生乳生産量は1913万キロリットルと、前年度を大きく(10.3%)上回って過去最高を更新した。
この増産は、経産牛飼養頭数および1頭当たり乳量の増加によるものである。経産牛飼養頭数は、前年度比2.3%増の463万頭となった。2009/10〜2010/11年度の酪農経営における収益性は、当該期間に乳製品の国際価格が堅調であったことから記録的な高水準となったため、酪農家の増産意欲が刺激されたことも増頭の背景にある。1頭当たり乳量は、初めて4,000リットル台を記録する同7.8%増の4,128リットルとなった。これは、天候に恵まれ、牧草の生育が良好であったことやPKE(Palm Kernel Expeller)と呼ばれるパーム核かすの利用量の増加などによるものとみられる。
また、経産牛の品種構成にも過去10年間で大きな変化がみられる。経産牛飼養頭数に占めるホルスタイン種とジャージー種の交雑種の割合は、10年前は23%に過ぎなかったが、2011/12年度には41%と、ホルスタイン種の38%を上回った。この交雑種の特徴は、ホルスタイン種の高泌乳量と、ジャージー種の高乳脂肪率の両立が図られることがある。また、体格が小ぶりとなることから基礎代謝量の減少による飼料効率の改善や、増頭に伴って家畜の飼養密度が増加している中で、体重が軽いことによる草地の圧密化防止効果も評価されている。
図14 生乳生産量と経産牛飼養頭数の推移 |
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資料:LIC、DairyNZ |
南島の1戸当たり経産牛飼養頭数は約600頭に
ここ10年間のニュージーランドの生乳増産は、南島の伸びによるところが大きい。2011/12年度についても、南島における酪農家1戸当たりの経産牛飼養頭数は、前年度から2.4%増の593頭となった。これは北島の約1.8倍の数値である。また、酪農用農地面積についても、北島がわずかに減少(前年度比0.8%減)した一方で、南島は同1.8%増となった。関係者によると、伸び代という点で北島は、農地面積拡大の点で限定的となっており、今後もニュージーランドの生乳生産動向を見る上で注目すべきは南島となろう。
表10 地域別の主要酪農生産指標 |
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資料:LIC,DairyNZ |
2012/13年度も好調を持続
2012/13年度も生乳生産は好調な滑り出しとなっている。ニュージーランド乳業協会(Dairy Companies Association New Zealand)によると、年度開始4カ月間(6〜9月)の生乳生産量は、前年同期比8.3%増の398万トンと記録的な増産となった昨年度をかなりの程度上回っている。
ただし、関係者によると、これは2012/13年度の分娩時期が、前年度よりも前倒しとなっていることによるもので、9月以降はこの増産度合いは落ち着きを見せるとみられる。最終的な今年度の生乳生産量についてニュージーランド第一次産業省は、前年度並みと予測している。
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