年頭のご挨拶を申し上げます。
旧年中の皆様方のご協力に感謝申し上げますとともに、本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。
昨年を振り返りますと、6月以降、米国コーンベルトで発生した大規模な干ばつによりトウモロコシが大幅減産となり、8月21日にはトウモロコシ価格が史上最高値の1ブッシェル当たり831USセントを記録しました。このため農林水産省は9月21日、配合飼料価格の高騰による生産者の経営に及ぼす影響を緩和するため、配合飼料の価格安定制度の安定運用を柱とする対策を講じました。当機構としても、国際市場における配合飼料原料調達先の多角化等の動きを踏まえ、世界の主要国における飼料穀物の生産・需給状況や、畜産物生産に及ぼす影響等について、集中的に情報を収集し、ホームページや情報誌、ALICセミナーなどを通じて情報提供を実施致しました。
生乳生産については、22年夏場の猛暑や東日本大震災の影響等により23年度の生産量が落ち込みましたが、24年度は徐々に回復傾向で推移し、バターの生産量も増加傾向で推移しています。当機構では、需給がひっ迫基調にあったバターについて、年度を越えた前倒し発注の実施、8月には業務用冷凍バター2千トンの追加輸入が決定されたことを受けて、機動的な輸入・引渡を行い、年末の需要期に向けたバターの安定的な供給量の確保に努めました。
一昨年3月11日に発生した東日本大震災では、東日本各県の多くの生産者が被災され、また、飼料供給ルートの寸断、飛散した放射性物質による飼料の汚染など、甚大な被害が発生しました。当機構では、被災された生産者等に対し、迅速かつ機動的に緊急対策として畜産業振興事業を実施したところです。
牛海綿状脳症(BSE)については、わが国で最初に発生が確認されてから10余年が経過しましたが、一昨年から厚生労働省においてBSE対策の再評価について検討されています。今後、一定程度国内の需給に影響があるものと考えられます。
長引く消費減退や価格低迷の中で、農畜産業をめぐる環境は引き続き厳しいものが予想されますが、世界の人口増に伴う食料安定供給に対する懸念などから、我が国における食と農に係る重要性はさらに高まっているといえましょう。
このような認識のもと、当機構では、独立行政法人制度に基づく5年ごとの中期計画期間の最終年度に当たり、現在、4月からの新たな中期計画期間開始に向け準備を進めているところです。
今後とも、業務の一層の効率化や透明性の確保に努め、機構の業務遂行に関わられる生産者・事業者・消費者の皆様にとっての利便性の向上に一層意を用いるとともに、皆様のニーズに即した、そして事業の円滑・効果的な実施に資する、需給・流通・生産・経営等に関わる情報を、迅速かつ分かりやすい言葉で提供して参ります。
本年が皆様にとって希望に満ちた明るい年でありますことをご祈念申し上げ、新年のご挨拶と致します。
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